これ、一番、やっちゃダメなやつじゃん。
自分につっこむ。
カレー粉の缶を落っことした。押し込むタイプの口が甘かったようでガバっと黄色い粉が床に広がった。
慎重に対処せねば。
以前にもやらかしたことがあり、掃除機で吸い込んだらどえらいことになったのだ。
それからしばらく掃除をするたび、排気口のほうからカレー粉の香りがして、掃除するのが嫌になってしまうほどだった。
結局分解水洗いをした。それでも匂いは残り、まいった。
カレー粉の粒子はかなり細かいのだと思う。
剥いて、拭いて、掃除機をかけても、床板の溝や、勝手口のドアの隙間なんかに入り込んだのはとれない。
思い切って、そのまま勝手口から外に掃き出した。
裏通路にどうしたどうした、あのうち、インド料理屋でもはじめたかというような、刺激的な香りが立ち上る。
いかんいかんいかんいかん。あわてて、洗い桶の水をザバっと撒いた。
現場修復にはかなりの時間を要した。
ちょっとやそっとじゃ消えてくれない。
台所の床は、履いて、拭いて、掃除機かけて、ワックスをかけてと、ピカピカになった。
勝手口のドアも噴き上げる。たまっていた泥汚れもこの際だからと雑巾で拭き取った。
泥だらけの雑巾と、真っ黄色な雑巾3枚。
いいかげん、掃除しろと、神様がカレー粉の缶をひっくり返したのかもしれない。