御伽の国を持つ

最近、激しいものを遠ざけるようになった。

刺激的、ハラハラドキドキ、そう言ったクールなものは昔から苦手だ。

いくじなしねっ

好奇心がない人は伸びないわよ

つまらない人

賢く興味の幅の広い姉は歌舞伎からロックまで吸収する。

張り合って方向性の違う頑張りをしてきた。

中学、高校の頃、夕方に、住んでいたビルの屋上の非常階段に腰掛け、ボケーっとするのが好きだった。

下を流れていく車や歩いてゆく学生、背広マン達。それから空を眺める。

ただただぼんやり過ごしていると時間はあっという間に過ぎ、よく叱られた。

母も姉もそれを嫌がった。危ない奴と思われた。

結婚して母となり、危ない要素は押し隠し、今どきの人っぽい服装、行動を心がけ、周囲のイケてるママ達に足並みを揃えようと張り切った。

いつもアンテナを張り巡らしていたような気もする。

あの子のお母さん、なんか変。そうならないよう気をつけた。

次第にそれもうまくこなせて、あら、私ったら、すっかり変わったわと得意になっていたが、実はそのあたりからじわじわ踏み外していたようだ。

 

根っこはやはり、ぼんやり夕焼けをみたり、ねっ転がりながらラジオを聴くのが好き。

詰め込みすぎず追い込み過ぎず、頑張り過ぎず。

ほのぼのほっこりするドラマがいい。

 

ぐるっと回って戻ってきた。

心の中くらい御伽の国でいいじゃないか。