手遅れ

午前の指定便で、いわき市に住む友人から秋刀魚が届いた。

秋の味覚、送ったよ。明日の朝、届くから。

昨日、LINEが来ていた。

なんだろう、栗かな。梨かな。

秋刀魚!

高いから今年はまだまだと渋っていたところに、秋刀魚!

息子が大好物なのだ。昨年も、「そういや、今年、秋刀魚食べてないな」とせっつかれた。

ふっくらとした長いのが5尾。母と姉の分も入れてみんなでお食べということだろう。

母に持って行くと小躍りした。

早速ラインでお礼をする。

「きたよ〜!お高いものを!ありがとう。息子が大好物なの。さっそく今晩いただくね。いつも本当にありがとう。」

「追伸、母が躍っとります」

青椒肉絲の支度をひっこめ、肉じゃがを作る。

秋刀魚、肉じゃが、れんこんのきんぴら、味噌汁。

昼近く、夫が降りてきた。

「なんかラインがきたんだけど、これ、なんだろ。お高いものって」

彼女に送ったつもりが、家族専用のファミリーラインに送信していた。

極まり悪さを押し隠し

「あ、ごめん。消して消して。間違えた」

平然を装う。

「どうやって消すの」

「ここを長押しして、この、削除っていうのを、押して・・」

照れ恥ずかしいものだから、普段なら、それっくらい調べろと突き放す鬼嫁も親切に教える。

「ありがと、送った気になってた」

もう一度送り直そうと、自分の携帯を手に取った。

まずはファミリーラインのほうを送信取り消ししようとひらいたら、既読の数字が2になっていた。

遅かった。。。

息子にも読まれた。

あのはしゃいだ文面。