持ってきんしゃい



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ラジオ体操は、ちょうど雨が止んでいる合間で今日も開催されていた。

いつもの時間に家を出ようとしたら夫が

「傘、もっていきんしゃい、今は止んでても今日は降るから」

昨夜、久しぶりに9時に寝たものだから、4時前から起きてリビングで書類に目を通していた。

「いつも一人でちゃんとやってるんだから、大丈夫」

一度、小雨だから大丈夫と傘を持たずにでて大失敗した。やむなくコンビニで500円の傘を買ったのだ。内緒にしているが。だからもう2度と同じ過ちはしないのだ。

「もってきんしゃいって!」

「もってくよぉ、わかってるんだから」

ぷりぷりして、玄関を開けると昨日使った夫の黒い傘が開いて庭にある。

「・・なに、これ」

「え?あ。ちょっと干そうかと思って」

「・・・降るんでしょ。私には傘持ってけと言っといて」

「あぁぁぁっ。そうだね」

ますます膨れる妻と笑う夫。

ラジオ体操の始まる前、ふっくらお婆さんが空を指差し
「ほら、速いねぇ」と雲のスピードを言っていた。