近所の友達からラインが届く。
明日から9月だねえとだけある。用事があるわけでもないようだ。
さっそく、返事をした。
「この夏はさんざんだったよ。また今度会ったら話すよ。」
もしや。
コロナ?と聞けば、7月下旬から家族4人順番にかかって、今、まさに彼女がラストの闘病中だという。
「なにか買っていこうか?」
「いいよ、娘がいるから。もうみんなかかったあとだから、距離を置く必要もないし」
普段から私の3倍は活動的な人なので、じっと家にいるのは苦痛なのだそうだ。
「早く外に出たいよ」
「早よシャバに戻っておいで。元気になったらドトールでおしゃべりしよう」
なかなかいい空間になっていたから我々のおしゃべりにはいいよと書くと
「うちでもいいよ」
と帰ってきた。
う。怯む。
ああでも、そうだ。今、おしゃべりはできない。外のお店では。
しかし。
二ヶ月にわたりコロナ患者が出続けた家庭に上がり込んでおしゃべりするのにはどうも抵抗がある。
「そうだね」
とだけ返した。
なにも今、寝込んでいる人に向かって「あなたの家はウィルスが蔓延しているかもしれないから嫌だ」と言うこともない。
でもいざ、改めて「うちにおいで」と誘われたらやっぱり言う。
「やだよぅ。もうちょっと間を置いてからがいいよぉ」
彼女になら、言える。