見えているようで見えていない

台風がやってくる前に朝の散歩に出た。

5時半に目が覚めたときには土砂降りだった。

カーテンをあけて、外を眺める。

今日はラジオ体操おやすみだな。

ホッとするような残念なような。

あれからちょくちょく参加している。誰も自分に関心のない集まりに混じって体操をしているのは気楽でいい。旅先みたいだ。

夫が親戚の家のゴミ出しをしにいくと、早朝から起きてきた。

朝食の支度をしながら雨がやんでいることに気が付く。

時計を見ると6時10分。やる。ラジオ体操はいつもの場所でいつものようにきっと、やる。

6時半には家を出ると言ったはずの夫は、のんびりテレビを観ている。

ああ、今日はダメか。

結局夫が出発したのは7時過ぎだった。

まだ雨は止んでいる。これから豪雨が来ると思うと今のうちに外にいかねばと焦る。

べつに1日くらい家にいたっていいのに。なぜか焦る。

公園はランニングをする人たちで賑わっていた。

台風?それがなにか。そんな感じ。みんな真面目だなあ。

ラジオ体操の広場には誰もいない。しめったベンチも腰掛けておしゃべりする人はいない。

ふうん。

そこをつっきり、奥の噴水広場に行ってみた。

ご年配のご夫婦が池の前で立ち止まる。ご主人らしき男性がスマートフォンで写真を撮った。

なにがあるんだろう。

近寄ってみると、なんとまあ。

カルガモの親子だった。

こんなところに。知らなかった。何度もこの前を通過していたのに。

見えているつもりで見ていなかった。

知ってるつもりで知らなかった。

こんなことってきっと私の周りにはたくさんあるのだ。

先日も百日紅の花が白いという記事をブログで読んで、こうコメントした。

百日紅に白い花もあるんですね」

つるつるした幹が名の由来の百日紅。その濃いピンクの花がイメージに強く、百日紅=紅と思っていたから、特殊なものなのかと思ったのだ。

そうしたら、その日、散歩していたら、いつも通る家の生垣から白い花が飛び出てる。

見たら百日紅だった。

白いから百日紅だと気が付くことなく、なんか咲いてるなあくらいに通過していたのだ。

ちゃんと毎日、白い百日紅の前を歩いていた自分がおかしくなった。

見えているつもりで、知っているつもりで、わかっているつもりで。

自分がとらえている世界は自分の偏りから成っている。

同じところに住んで同じものを見ている家族でも、似てるけど違う世界を生きている。

それが揉め事になったり、笑いの種になったりするんだ。

カルガモは、かわいかったから、家族には秘密。

秘密にしてるつもりでも、みんなとっくに知っているのかもしれない。でも、言わない。

雨が降りそうなので早めに戻った。

5000歩。

返ってからYouTubeで検索し、一人台所で、ラジオ体操第一第二をフルコース、やった。

これで、よし。

私も真面目だなあと照れ笑い。

癒されスポット発見