六年後の私

昨日はどうも動けず1日横になって過ごした。

週末、やや法事で体調を崩しつつあったが、日曜の午後をほとんど寝て過ごし復活したが、まだ本調子ではなかったのか。ぶり返したかのように動けない。

開き直って再度、ごろごろ。海外ドラマと読書とうたた寝でやり過ごす。

夕方になってすっきりした頭で思い返してみると、朝の散歩がよくなかったのではと思った。

6時半に家を出て、のんびり歩いて7時20分頃に戻ってきたのだが、その時間帯でも熱中症になっていたのかもしれない。

軽い頭痛、思考力低下、足の筋肉のこわばり、倦怠感だけの症状だったが、早朝とはいえ、すでにモワッと蒸し暑かった。

7時を過ぎると気温も31度、帽子を被って行ったが起き抜けの脱水状態で歩くには危険な気温だったのだろう。家を出る前にたっぷり水を飲んでいたがそれだけでは不十分だったのだ。

おそらくそうだ。

そこで。

今朝は5時起床、ゴミ出しと洗濯機のセットを済ませ45分に出発。

全然違う。

すでにもう気温は29度とラジオが伝えるがこの2度の差は大きい。時々吹く風がかろうじてだが、朝の清々しさを運んでくれる。

途中、立ち止まりお茶を飲む。歩道で腰に手をあてグビグビ上を向いて飲んでいるのを交差点から凝視しているバイクのお兄さんと目が合う。

「なんざんしょう。水分補給中でございます」

心の中でつぶやく。楽しい。

それからまた歩き出し運動公園に入って行った。

ちょうどラジオ体操が始まるところでワラワラとそこらから人が集まってき始めている。

大人も子供もおじいさんもおばあさんも、みんなが広場を中心に立ち止まる。

ランニングをしていた人も、犬の散歩の人もみんな立ち止まる。

私も立ち止まる。

懐かしい音楽が始まった。

いろいろ変わってしまった日本の夏だが、この音楽と体操はなにも変わっていない。

 

この広場で季節を問わずラジオ体操が行われているのはずっと前から知っていた。

息子が大学一年で夫が単身赴任中だった頃、何度か出会した。

そこに加わるなんて発想はなく、部外者として足早に通り過ぎた。

一度、木の影でそっと第二の体操だけやってみたが、筋力体力が無く身体が動かせなかった。

ラジオ体操ですら、できなかったのだ。そんな自分がみっともなくて惨めだった。

あれから六年。

同じ場所で私はぶんぶん蚊蜻蛉みたいなほっそい腕を恥ずかしげも無く振り回す。

どうにかこうにか音楽についていける程度の筋力しかないから、重心もぶれまくってぶかっこうだ。

それでも構わず、ぶんぶん、びょんびょん、どたどた、体を動かす。

首からラジオ体操のスタンプのカードを下げた女の子が、へんな動きの私をじっとみた。

ふっふっふ、へたっぴでしょう。

目で笑ったら、知らぬふりをされた。

たのしい。

全て終わってラジオが消えると、集まっていた人々がなんとなく拍手をしてそれぞれ散らばって行った。

私も家に戻ろう。

帰り道。胸が熱くなる。

さらに遡って十年前。あの、鬱になって納戸に引きこもって、死にたくて死にたくて、人と接触することを拒み、自分が大嫌いだった、あの私が。

ビョンビョンブンブン、飛んだり腕を回してラジオ体操に加わるとは。

人って、毎日ちょっとずつちょっとずつ、いい方向にむかっているんだ。

自分じゃわからなくても、昨日と変わり映えしない今日でも。

少しずつ、日の当たる方に向かっていこうとする生き物なのかもしれない。

 

毎日行くぞと張り切ると、私のことだから失敗する。

また、タイミングと体調がいいとき、参加しよう。

 

 

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なんと、蛇が。

 

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あわてて草の中に隠れた。

 

 

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大人も子供もランナーも。みんなでそろってラジオ体操。