解放

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今日も朝の散歩に行く。

いつもより出るのが遅くてラジオ体操は終わっていた。

代わりに体操が終わった後話し込んでいるおばさま二人が、ベンチに腰掛けていた。

ランニングコースを歩く人と、走る人。

私のようにのたのた歩く人はそういない。みな、私を追い越してゆく。

あきらかに私より年上のおじいさんも、小学生も。

よいよい、ゆくがよい。

私はみんなと違う。いろんなところが。

感じ方も、価値観も、体のつくりも、心の様子も。

ちょっと前までそれがすごく恥ずかしくて劣等感だった。

あれこれ自分の思う「普通」に近づくべく試したけれどやればやるほど苦しくなるか悲しくなるか。

自分を置き去りにするってああいうことをいうんだ。

いろんなことに動揺したりは相変わらずだけれど、近頃少し変化が見られる。

「だから、なに?」。

くだらないことで怒っている自分。

がんばりがきかない自分。

些細なことで悲しくなったりするくせ、意地っ張りな自分。

一生お医者さんと付き合うんだろうなという自分。

もっと強くなりたい。人を丸ごと受け入れるだけの度量を身につけたい。

あああ。。。と落ち込むけれど。

「だから、なに?」。

この不貞腐れたとも開き直ったともいう言葉がポンっと降ってくる。

決して人生を投げ出したりはしないけれど、大きな流れに委ねるしかないじゃないか。

 

ジョギングコースの目の前に、新聞を広げて読みながら歩くおじさんが現れた。

ぎょっとする。

短パンで格好はウォーキングだが、おじさんの周りだけ、スポーツマンっぽさが薄い。

それこそ「だからなに?」といった風情で堂々と進んでいく。

そのせいか、それはそれで自然な光景としてなじんでいる。

おじさんの迫力勝ち。

わたしもあれ流でいこう。

 

少し歩いて疲れた。

コースをはずれてさっきのベンチの広場にいく。

ごろんと寝転んで空の写真を撮る。

犬を散歩させている青年が振り返って行った。

「だから、何ですの?」

いい気分だ。