ハーゲンダッツを買いに行く

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夏休みなんだな。朝早くから野球少年が歩いている。

息子は咳が止まらないため、出社は控え、在宅で仕事復帰をした。

食欲はまだ、本調子ではないようで、食べたり食べなかったり。できれば食べてほしいが、そういった圧は息苦しいだろうと体験上考える。

好きそうなものを並べあとは任せるしかない。

はんぺんと豆腐でお焼きにしてみたり。豆腐と鶏ひき肉で焼売にしてみたりと、あれこれやっているが、あまり力を入れすぎると消耗する。せっかく作ったのにと思ったりしない程度にしておかねば。

それでもハーゲンダッツのアイスクリームを切らさないようにとお守りのように、常備する自分を親バカだなあと苦笑しつつ、どうしてもやめられない。

息子が幼稚園から小学生の頃、熱をだしても、私はここまでしなかった。

当時は自分の体が一番しんどいときで、必要最低限の看病しかしなかった。

熱をはかり、様子をみて、異常がないか。大丈夫そうならもう、それだけ。そばにいてやったり本を読んでやったりしなかった。やっぱりアイスは買っていたが、口に合うものを探り探りつくってやる余裕はなく、ぐずって薬を拒否されたりすると本気でうんざりしていた。

とにかくはやく通常に戻ってほしいのは自分のためだった。

 

鶏そぼろを作ると「僕これ大好き」と大人になった息子が喜ぶ。

それを聞くたびに心がチクンとする。

「そんなに好きだったんなら幼稚園のときにもっといっぱい作ってあげたらよかったね。ごめんね、今の母さんなら毎日でもお弁当にいれてあげたのに」

幼稚園のお弁当。のり弁とブロッコリーに卵焼きにプチトマトの三種の神器。あとは唐揚げや生姜焼きやハンバーグといった前日の残りを入れていた。

卵のサンドウィッチといちごジャムのサンドウィッチ。いまならそこにホットケーキミックスで作る簡単な小さなスコーンやカップケーキをつけてやったのに。そんな発想すらなかった。

最小限のエネルギーでエネルギーの有り余っている、甘えたい盛りの子供と接した。

「まああれはあれでおいしかったから」

そうだろうか。

小さな子供だった息子に会いに行ってぎゅうっとしてやりたい。

かといってその悔いを今、取り戻すことはできない。

もう大人になってしまっている彼にべったりくっついて世話を焼くわけにはいかない。

気にかけつつも手はかけない。

遠目に様子を見つつハーゲンダッツとポテトチップスを常備し、食べる気になりそうなものを並べておく。

自分が安心するために買いに行く。

 

 

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桔梗が咲いていた。

桔梗の蕾ってかわいい。