金曜の夜、息子が「喉が痛い」と最寄り駅から電話をしてきた。
「コロナだったらいけないから、どうしよう、とりあえず離れて」
「いいから。だいじょうぶだよ、とにかく帰っておいで」
「喉がすごく痛い。明日病院いったほうがいいかな」
「いいから。お風呂沸かしておくから。あったまって食べてすぐ寝れば大丈夫。とにかく早く帰っておいで」
心配なことがあるとすぐ電話してくるんだから。まったく。
熱を測ると6度8分。やっぱり大丈夫。大袈裟な。
「寝てれば治るよ」
それでも翌朝どうしても病院に行くと言う。
「万が一ってことがあるだろ。連休になるし」
それで安心するなら行けばいいと、送り出す。用心深いなあ。
診察がおわってすぐまた電話。
「喉がすこし赤いって。コロナじゃなさそう」
そうでしょう。いいから早く帰っておいで。
さすがに本人も恥ずかしそうだった。
「安心できてよかったね」
「うーん」
「ちがうの?」
納得いかない様子であった。
そして。
午後から熱がではじめる。
7度4分。食欲はないと不機嫌になり始め、眠り続けた。
このあたりから私は穏やかでいられなくなる。
今朝。8度4分。節々が痛いと言う。
喉の風邪でも高熱はでるからな。そう思いつつも異様にだるそうなのが気になる。
まさか・・・ね。まさかまさか。
食欲はないといいつつも桃ならと丸ごと一個、食べた。
ここでガンガン食べさせちゃいけない。
こっちが安心したいからと、なにか食べさせようとする傾向が私にはあるが、それをやると回復が遅れる。
なにかしてやりたいが、してやれることはない。
子供の頃のように、あれやこれやとする年でもなく、向こうも求めていない。自分で保健センターに連絡をして、指示を仰ぐのを眺めているだけだ。
検査どころか診療すらも今はいっぱいで受け入れ可能なところは遠い。
そしてコロナである可能性を考え徒歩でいかないとならないらしい。
もう少し様子を見ることとなった。
「買い物に行くけど、アイスクリーム買ってこようか」
昔から食欲がないときは高級アイスでエネルギー補給というのが小児科の先生に教わった対処のし方である。それを承知している息子も
「うん、買っといて」。
「ハーゲンダッツでいい?」
「うん」
「プリンとかは?」
「うーん・・・そうだな。いいから。考えられない。・・いいから近寄るな」
おでこに手を当ててみるとやはり熱い。
「まだあるね」
「いいから。その手、下行ったら洗えよ」
何もできないはがゆさと、うつるからあっちいけと言う態度に頼もしさ。
はやく治りますようにと母はアイスを買うばかり。