新しいお帽子

ここのところ男性陣、つまり私がご飯を作っている相手二人揃って、食事を残す。

方や中年男は遅くまで仕事をして、帰りにちょっと寄り道してお腹いっぱいになったものだから。

方や若造は、昼ごはんが遅く、夕方から眠くなり目覚めた午後10時になっても先ほどお腹に入れたハンバーガー二つにポテトに煎餅が胃に残っているので空腹感がないのだ。

そしてどちらも朝は朝でのんびり新聞を読んだりiPadを眺めて時間がなくなり

「ごめん、ご飯、これだけでいいや」

と白いご飯と味噌汁だけで、せっかく作ったホウレン草と卵の炒めたのや、朝のために作り置きしておいた煮物の方は手付かずで仕事にかかる。

それぞれのリズムや事情がわらからなくもない。

気晴らしに会社帰りにお寿司をたべたり、休みの日のジム帰りに寄り道して遅い昼ごはんを買って帰ってきてたべたら眠くなって起きたら10時。

そうやってバランスをとりながら働いて生きているんだ。それが拠り所なんだろう。

私も生きている。

連日、それなりに考えて喜ばそうとか、栄養とか頭を使って出した皿がラップをかけられ冷蔵庫に舞い戻っているのを見つけるのは結構切ない。

なんか。こう。面白くない。

今日も二人は寝坊し、ごめんと残し、映画と試験と大急ぎで出ていった。

残った私は自分のベッドカバーを洗い、ベランダにたまった泥を掃除する。

面白くないなあ。なんかおいしいもの買ってこようかな。

昼からお刺身とか。

たまにはジャンクなお菓子とか。

すべて放り投げ外に出た。

歩きながらやけ食いはちょっと違うなあと思う。

日曜日らしいこと、なにかしたい。

とにかくテクテク歩いて三軒茶屋に向かう。

そうだ。帽子を買おう。日傘がわりの。暑くなるから。

私に買ってあげよう。

店につき、帽子のところに行き、いくつか試して選び、それを買う。

それだけでまた店を出てどこにも寄らず今度はバスに乗って帰ってきた。

新しい帽子をかぶって帰ってきた。

満足。私の日曜日。