息子は落ち着きを取り戻した。
昨夜、会社の帰り、先輩と課長と3人で食事をして帰ってきた。
10時を過ぎたあたりで私は疲労の限界がきて先に寝る。
遅く夕飯をとっていた夫がいる。かえって私がいない方がいいかもしれない。
仕事の話は男同士でするほうが率直に伝わっていい。
夜中、目が覚めたのは1時。
階下におりてゆくと息子が風呂に入っていた。
夫はテレビを観ている。
「帰ってきたのね、息子」
「うん、さっき。今、風呂入ってるよ。息子が出たら僕も入って寝るよ」
その口調に彼もまた息子の会社のこと、深刻に捉えていないと感じ安心する。
「早く寝るんだよ。おやすみ」
「うん、おやすみ」
洗面所から風呂場に「おつかれさん、おやすみ」と声をかける。
「ほーい」。
いつもの調子の声。よしよし。
一丁前に仕事終わりに会社の人と飲んできて、深夜1時に風呂に入る息子がうれしい。
学食には友達になりたいと思うやつがいないんだと、連日図書館で過ごしていたのを考えると随分と柔軟になったものだ。
母にはそれがなによりうれしい。
平和な夫と夜に感謝した。