投げ出さないことあきらめないこと 

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呪いのミートソース。。

昨日の午前中、ふんふん気分でとりかかる。

なんたって市販のミートソースを混ぜるんだ、これですべて丸くおさまる。

ところが。想定外のミスがあった。塩分が強すぎてしまった。

もともとの私が作って軌道修正してきたものには、試行錯誤をしながらありとあらゆる調味料をいれた。

みりん、酒、醤油、ケチャップ、ウスターソース、ホールトマト、・・砂糖、コンソメ・・焼肉のタレ・・・記憶しているだけでもこれだけ入れた。それぞれちょっとずつだが、これだけ入れたら味が濃くなるに決まっている。

方向性としては外れた道からもどったがこの強すぎるのを落ち着かせたかった。

追加した市販のソースは追い討ちをかけた。

こんなことになるならいっそのこと無塩の野菜ジュースにすればよかったのだ。

私は最後の手段にでた。

鍋ギリギリまでになってしまった塩分過多の濃厚トマトソースをタッパーにうつす。

そして実家に続くドアを開け、母のところに持って行った。

「ミネストローネからリメイクしてたら味がわかんなくなっちゃってあれこれ足してたらお鍋いっぱいになっちゃった。ひきうけて。言っとくけど相当味、濃いからこのまま食べたら危険だよ」

丸投げである。

ぼんやりテレビを見ていた母は見る見る表情に力が入る。受け取り、指をちょっとつっこみ舐めた。

「悪くはないけどね。まあ、あなたのやるのはこんなもんよ、ちょうどよかった、今日しんどいなと思ってたのよ、これに成城石井のハンバーグ入れて煮込むわ」

この家にはそんな上等なものが常備されているのか。

「ん。ハンバーグ。そうだ、私も冷凍庫にこの前作ったハンバーグ眠ってる。あれ使お。」

そうだそうだ。

「ありがと。わたしもそうするわ。持つべきものは年寄りの知恵だわねぇ」

ふん、年寄りは余計だといいつつ母は「あなたもまだまだね」と得意げであった。

半分になった鍋にハンバーグをいれ、玉ねぎキャベツ、じゃがいもを入れて再度煮込む。

肉の脂とじゃがいもが溶け、尖った味も丸く落ち着いた。

もう、これ以上いじるのはよそう。今の味覚を信じるのだ。

夕食時、ドキドキしながらそれを出す。

パスタにかけて出したのは少しでも評判をよくしたかったから。

「どう?」

「おいしいよ」「おいしいおいしい」

「よかったぁ」

それでも慰めではないかとチラチラのぞく。二人とも勢いよく平らげた。

よかった。あきらめないでほんと、よかった。

何度途中、投げ出したくなったことか。

もう当分リメイクはしない。

私にはその度量がまだ、ない。

 

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庭の木の影がそっくり柴に映っていた。