笑顔から

なんとなく自分がチッポケに思えるときは。

人と比べ、辿ってきた人生の厚みが違うと愕然とする。

体調と天気に連動して発想も暗くなるのだろうか。

こんな哲学ぶったこと呟いていても、外に太陽が現れ、カフェでもどこでも気ままに出歩き本屋で立ち読みでもしたら「これはこれでいい人生じゃないか」なんてお気楽モードにどっぷり浸かるんだろう。

今朝、働く人のお昼を追跡するサラメシという番組を観ていた。

51歳の看護学校の先生が眩しかった。

キュッと幸せを詰め込んだような膨よかな身体で看護学生達に技術を伝える。

その人柄の暖かさ。助産師の資格を取りながら子育てもしてきた彼女。それと並行して私はなにをしてた。

母親との確執にアップアップしながら子育てと家事だけでも下手っぴで、体調崩して入院して鬱になってた。

成人した娘さんが初任給で買ってくれたというお弁当箱には卵焼き、鮭、ブロッコリ ミニトマト、さつま芋の煮物と冷凍食品の混じらないおかず。

家族の分を作るついでに毎日作るという。

私なんぞ、毎朝の食事の用意すら、なんとか手を抜こうと画策しているのに。

そして、当たり前の掃除洗濯と食事の支度だけでエネルギーを使い果たしてヘロヘロになっているのに。

私の何倍も濃く生きてる人がたくさんいる。

 

これ以上見ていると落ち込みそうでチャンネルを変えた。

Eテレに回すと、そこでは塔本シスコさんという画家の特集をしていた。

熊本出身の彼女は50を過ぎてから4畳半の団地の中で絵を描き始める。

日本のグランマ・モーゼスのような緻密で力強く、明るい色彩の絵だ。

彼女の人生を振り返ると早くに夫に死なれ、子供二人を育てあげ、絵を描きはじめてからも長女の出産の手伝いに行ったり。長女が50歳の若さで亡くなる。しばらく絵から離れるが、また描き始める。

91歳の亡くなる直前まで描き続けた。

 

なにが違うんだろう。

彼女たちと私。

こうやってすごいなあと感心しながら、なにも変化を起こさず小さな半径500メートルの日常で1日を終える。

今日はカレー。

しんどいからカレー。

ちょろっとスーパー行ったらゴロゴロ本を読もう。

 

せめて、機嫌よく。

まずはそこから。

機嫌よく。笑うことから。