ここに書くことで昇華したい
いつも思う。こういう時、淡々と収める事のできる人間でありたいのに、自分はまだその器に達していない。
辛いことは結構踏んできたつもりでいたけどやはり、一人で処理しきれない。
聞いてちょ。
先週から夫が「来週、僕、月、水、木が出社日だから」と言っていた。その月曜日。
実は会社には行かずに消防なんたらの資格更新のためのセミナーを受けに行っていた。
それはまあいい。そんなこたぁどうでもいい。
その後だ。
10時に研修が終わると事前に買っておいたGOTO ETAのクーポンを持って千葉の房総までドライブに行き、一人で寿司を食べ、夕方には焼肉を食べた。
そして夕方6時ごろ、暗くなった下道で地元30代男性の自転車が、電信柱を避けようとしてよろけてきたのと接触。
接触って、つまり交通事故。幸い相手の人は打撲で済んだそうだが、全治三週間だそうだ。
ここまで書いていてもなんだか悲しい。
この件で私が最も落ち込むのは全て計画的犯行であったこと。
クーポンを買ったのは先月。その時からずっと私たちと普通に会話しながら頭の隅には12月13日には千葉にドライブしてGOTOしちゃうんだという計画を温めていたってこと。
月曜の朝、車を見送りに門の外で両手を振っていた私の間抜けさ。
無印で夫のシャツを選んでいたとき、彼は千葉で寿司を食べていたのか。
事故を起こして帰ってきたその日に言わなかったことも嫌だ。
翌朝、食事を済ませ仕事しに二階に上がっていくまでも、日常会話もしていた。ここでも言わず。
言えなかった、どうやって話そうと考えてたと言うが、そんなの。子供じゃあるまいし。
全てを知ったのは息子が
「なんか部屋で電話してるけど事故とか警察とか言ってるよ」
と怪訝な顔をして言いにきたのですぐ、夫のところに行ってみたときだった。
電話中の夫の机の上には『トラブルを起こした時のために』という保険会社の冊子。
それを手に取り開いてみると中には千葉県警の事故確認のメモ。
ここで何をしでかしたのか、理解したのだった。
全てが悲しい。
後から問いただすと先月にこっそり買っていたそのクーポンも、施設にいる夫の父から身の回りのものを買うためにと預かっているカードで買ったそうだ。
いい歳して親のカード使うのかよ。もうクラクラする。
夫の父からあらかじめ、もう外に出て食事を奢ってやることもできないからそのカードで何か適当にうまいものでも食ってくれと言われていたというが、そにしても。
もう。もうもうもうもうもうっ。
こそこそコソコソ何やってんだよ。
何がトンさんが一番大事だよ。
なーにが僕はトンさんがどうなっても大好きだだよ。
全てが嘘っぽく薄っぺらく思えてしまう。
「私がどんな気持ちで病気のこと全部話したと思ってるの。お母さんにも言えない、お姉さんにも言えない、息子にだってあのことは言ってないんだよ。だけどあなたには全て隠さず話そうと思ったんだよ。それなのになんで騙すの。ついこの前、嘘ついたのがバレて、もう嘘はつかないって言ったばかりじゃない。もう信じられないよ」
ごめんね。と謝る。
「でも事故がなかったらこれも隠し通すつもりだったんだね」
黙る。
やめてくれ。傷つくんだよ。こういうの。
怒りより、悲しみ。ひどく、傷ついた。
泣きそうだ。
昨日は何も手につかず、セブンイレブンで買った金のハンバーグとサラダと冷凍ピラフをチン、チン、チンで息子に出した。
夫のは用意する気にもなれず。夜遅く、鍋に残っていた味噌汁を食べたようだ。
吐き気とめまいと無気力で食欲もない。
でもここで食べなくなったら確実に倒れる。こんなことで負けるものかと食べる。
「飲み込まれるな。こういう時はな、俯瞰で見るんだ。よく考えろ、俺たちに問題は起きてない、やらかしたのはあいつだ。俺たちが落ち込む必要ないんだ。」
息子が壁に飾ってある亡き父のスナップ写真を見上げて虚な目をしている私を心配する。
「大丈夫かよ。いつも俺に大丈夫大丈夫っていうの母さんだろ、飲み込まれるな」
おお、大人になったのう。
それがわかっただけでも今回の件、いいことひとつみっけ、じゃのう。
そして今日、やつは多分、本当の出社日で家にいない。
あいつのご飯、今日も用意する気になれないので、今日も用意しない。
しばらく自分の気持ちがどう落ち着くのか様子を見ようと思う。
ご清聴、ほんっとに、ありがとうございますっ。