夫の体重がやっと単身赴任前の値に戻った。
2年かかった。2年の赴任で増えたものは2年かかって戻るのだなあ。
4キロ増えたらしい。一人暮らしが始まった頃は張り切って毎朝ご飯を炊いて、インスタントだが味噌汁に納豆を食べていた。夕飯は私の仕送りと近所の定食屋でなんとかし、飲酒は週末のお楽しみにしていた。
それでも最後の方はストレスと寂しさからか毎週のように東京に帰ってきていた。
平日の夜にもビールとワインとポテトチップで自分を励まし乗り切ったのだろう。
こっちに帰ってきた時には見送る背中をポンとすると、感触がふにゃっと弾力のある手応えになっていた。
尿酸値やら肝臓やら体重やら、要再検査、経過観察をもらってきてびっくりし、これは締めてかからんとと勢い混んだが、なかなか言うことをきかない。
連日、夕食時にお酒を飲んで、ご飯も食べて、食後にお煎餅も食べて、アイスクリームも食べたがる。
だめだよと言えば、「今日だけ」と粘る。
「いっか。今日だけ。いっか」
今日だけと言ってそうだったことはない。
お酒の量で喧嘩して隠れて飲むようになっても良くない。
「じゃあ私も飲む」
ワインの瓶の残りを減らそうとしたが強くないので続かない。
食事のたびに揉めるのも嫌になり、結局食事を気をつけるくらいしかしなかった。
それでも息子がいるので煮物に焼き魚ばかりというわけにもいかないから揚げ物もした。ハンバーグもグラタンもコロッケもしたしピザもとった。頂き物のお菓子があれば食べていたし特別運動もしていない。
テレワークが始まってからは一日パソコンに向かい昼も夜もガッツリ食べていた。
極端なことをしなければ、人間の体重は元に戻るようにできているようだ。
気がつけば夜中のポテトチップも冷蔵庫のゼリーをこっそり食べるのも無くなっていた。
そして今気がついたが夫の赴任中、2キロ減った私の体重もそういえばいつからか元に戻っている。
知らぬ間にそれぞれ負荷がかかり、知らぬ間にそれぞれ取り戻していた。