愛と光に包まれた

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行きたかった美術展に行ってきた。

グランマ・モーゼス。モーゼスおばあちゃん。

アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼスが本当の名前。

12歳から農場で働き、農家の主婦として暮らしていたおばあちゃん。

リウマチのせいで得意だった刺繍絵ができなくなって、70代になってから絵を本格的に始めた。

偶然ドラッグストアに置かれていたその絵を見たコレクターが彼女の絵を買い占め、美術商に見せて周り、ニューヨークで個展を開いたのは80代。そこからあっという間に国民的画家として愛され亡くなる101歳まで絵を描き続けた。

100歳には大統領からも祝辞と表彰を受けた彼女。

刺繍絵を楽しみとしながら主婦として生きてきた彼女が80を過ぎて花ひらいた。

そこが勇気づけられる。

ただ彼女に会いたかった。

 

どの絵もどの絵もエネルギーがすごい。

隅の隅まで細かく楽しげに書き込まれている。

そしてどの絵にも暮らしが季節が家族が、友が自然が、それは幸せそうにある。

特別遠くに出向くでもなく、ただ淡々と毎日を大切に暮らしたおばあちゃんが、人生の最終章で描いた美しい世界は、まるで毎日が楽園にいたかのようにも思う。

きっと違うのだ。

農家の主婦としてやりきれない想いも、しんどいこともあったのだ。

その中でも、自分の好きな刺繍絵を続けていた。

だからこそ、なのだ。

毎日を大切に大切に紡いだおばあちゃん。

絵はどれも幸せと喜びに満ちていた。

 

あんまり圧倒されてふらふらと美術館をうっかり、ガイドのイヤホンとレシーバーをしたまま出てきてしまった。

慌てて戻る。

あ、ハガキとか買ってない。いや、本物には叶わない。この衝撃を胸に帰ろう。

熱にやられてぼんやりと歩く。

向かいの砧公園の紅葉までもがやたら美しく愛おしい。

日々を大切に過ごそう。

今、何かを成し遂げなくてはと急ぐことはない。

まだまだ、まだまだモーゼスおばあちゃんの道から見れば途中の途中。

ひよっこだ。

ゆったり構えよう。

自分を愛して。家族を愛して。暮らしを愛して。仲間を愛して。

全力の愛で生きよう。

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