朝起きたらまた膨らんでいた。
このところ調子が良くて浮かれていただけに一瞬うっとなる。
薄々、覚悟はしていたんだ。体調なんて行ったり来たりだからこんな日もまたくるであろう。ぼちぼちくるか。そろそろくるか。ホッ今日はセーフ。よしっ今日もセーフ。そして今朝。その日が来たわけなのだ。
それだけのことだ。私の入れ物が伸びたり縮んだりしてるだけだ。魂はいつも通り。慌てることなく、日常を送ればいいのだ。また、順繰りでしばらく経ったら好調の波が戻ってくると自分を落ち着かせ、着替えた。
いつもと同じに。
・・・・。
いや、むしろあえて攻めてみるというのはどうだろう。
浮腫み出すと、いつも落ち込む。そしてじっと家に篭る。どんよりとした気分を薄めたくてドラマやネットを眺めて時間をやり過ごす。
ヤケになって暴飲暴食したりしないように、不機嫌にならないように波動を下げ、ただ、淡々と1日が終わるのを待つ。
これが数日続き、じわじわ気持ちが腐りそうになってくるなあという頃、ぴょんっと引く。
このパターンを断つのだ。
あえてこんな時だからこそ、外に出て見ようじゃないか。
ずっと行きたいと思っていた美術展、行って来ちゃおう。絵だけ見て、すぐ帰ってくるならできる。
もしこれができたら、体調がどうであろうと、外見がどうなろうとそんなことには左右されずいつでも楽しい1日になるってことになる。
そうだそうだ。
息子が降りてきた。
「どこか行くの」
「午後、美術館行こうかなぁと考え中」
「行きなさい行きなさい、俺、これから出社することになったから昼もいらんし。親父もいないし」
急に息子が出ることになったのも神様が後押しをしている気がしてきた。
身支度を整えけんちん汁を作り、炊き込みご飯をセットする。
立ちっぱなしで一気に家事を片付けたら足が疲れた。
IKEAの椅子にちょっと一息と腰を下ろした。
晴れている。暖かい。陽が当たり気持ちがいい。
・・・・やめよっかなぁなんか疲れちゃったなあ・・
はっ、違う違う、行くんだ、楽しい1日にするんだ。
・・・もうちょっと休憩してから行こう。
結局やめた。
なんだか意地になってる自分に気がついた。
無理に気持ちを盛り上げ、こんな日だって素敵に過ごせると証明しようとしている。
やーめた。
そんなことしなくったって、ちゃんといい日になる。
充実させる必要もない。
生きていればいいんだよ。
ただただ、特別なこともせず、食べて、寝て、トイレ行って、食べて、寝て。
それでいいんだよ。
安心して日向ぼっこ。
お芋を蒸して、ラジオを聞いて、その辺ちょろっと歩けばご機嫌になるよ。
落ち着け落ち着け。どう、どう、どう。