Apple Pencilの接続が悪くて修理をしようと調べたら、保証サービスが来月末までだと発覚した。
AppleCareという有料のもので、購入時、これに入るか入らざるか、相当迷った。
結局使わずじまいかと思いきや、最後ギリギリセーフで役に立つ。
真面目に購入すれば15950円するペンシルが、3740円で買えるとわかり、大急ぎでいちばん近いところを探すと渋谷店なら当日修理対応の空きがある。
体調にムラがあるので行ける時に行っておかないと。
こういうのってうっかりしているとあっという間に期限が過ぎてしまうと、焦って予約をして家を出た。
ずかずかと店内に入ると呼び止められる。
コロナで入場制限しているようだ。
「修理の予約してあるんです」
自信満々で鼻息荒く言う。
「何時の・・お名前伺えますか」
申告し、調べてもらうが、ない。ないと言う。
時間を間違えたか日付を間違えたかと探してくれたが、どこにもない。
私が家でぽちっとしたあれはなんだったんだろう。
そして不思議なことに私のiPadからも予約が消えている。予約完了って見たはずなのに。
きっとまたやらかしたのだ。
店員さんが気の毒がって空きを探してくれた。
「一時間半ほど後になりますが2時20分の枠なら今取れますよ」
迷ったが、お願いした。
さっと来てさっと帰るつもりだったので、ユニクロのスウェットのままコートを引っ掛け、ズタズタのスニーカーにリュックで出てきた。
ハッと見渡すとさすが渋谷。店内も店の外も誰もが一定のおしゃれをしている。
しかし。私も育った。正確に言うと、歳を重ね図々しくなった。昔のように恥ずかしくてたまらないなどとはならない。
他人のトレンチコートの下なんて、そう見るもんじゃない。
その格好のまま向かいのloftと無印良品をぶらつき、姉へのクリスマスプレゼントを買い、無地カフェでコーヒを飲んでいたらあっという間に時間になった。
Apple Storeに戻る。今度は予約がしてあると言うと「お席の準備ができました」と丁重に案内された。
リュック、ボロスニーカーのままついていく。
もう怖いものはない。ベラベラと店員に不具合を説明し、その勢いのまま要件を済ませ、帰宅した。
「今日さあ。なんと私、この格好のまんま、コートだけ羽織って渋谷Apple Storeに行ってきちゃった」
気負わずふらっと渋谷に行ってきたのだと得意になって息子に言うと一言、返された。
「恐ろしい・・」
ロフトでクリスマスプレゼントを買う11月最後の日曜日。
無印カフェでぼんやりコーヒーを飲みながら窓の外を眺める。
もう暮れだな・・・。
若者たちが華やいで弾けるように街をゆく。
・・・・・なーんて言いたいところだが。
一人で入る無地カフェにも緊張し、システムがわからず、ウロウロキョロキョロ。
やっと注文を済ませカウンターでコーヒーを受け取りお金を出そうとすると
「お支払いはお帰りの際、あちらで」
と言われ、照れ笑いをする。
席につき暖房に負けコートを脱ぐ。
真っ白いスウェットが眩しい。
そして、お洒落なデリを食べる女子達の間で、窓越しに「せっかく来たんだからと」シャッターを切るスウェット女。
恐ろしい。