神様っ!これは、私へのお試しですかっ?
いろんなことを通過して、やっと心の底から「大事な人」だと夫を思え、そのことを書きました。ええ、昨日、心の底からの素直な気持ちを書きました。
あの記事をアップしたその日の夕暮れに、もう泣きたい気持ちになっておりました。
神様ぁっ。あんまりじゃぁないですかっ。
本当は、あんまり神妙なことを書いたので、今日は記念日だからと二人で映画を観に行ったが、夫が駐車場料金をケチり、映画館のビル地下にあるのを使わず、路上のもっと安価のパーキングまで車を止めに行くも見つけられず、結局ビル地下よりもっと高いところに止め、映画も間に合わず、本編上映開始の中の暗がりを気まずい思いをしながら席を探し、コーヒーを買う時間もなく、先に車を降りて私が買っておいたスタバのサンドウィッチも食べず、ただただじっと画面を眺めるが、夫はいつものようにすぐ寝はじめ、私は私で序盤の大事なところを身損ねたのでなかなか内容がわからず・・・と彼のやらかし話をご披露するつもりだった。
その話を聞いた息子は「俺が悲しい」とせっかくのデートにお洒落して浮かれた母を気の毒がったこと。
それでも内心、そうはいってもドンパチ物の好きな夫が007ではなく、黒人ボーカルの半生を描いたヒューマン映画を選んでくれたのは最大限の私へのサービスなんだということ。そう思うと「精一杯喜ばそうと思ったんだよね」とロマンチックじゃないこの1日も、いかにも夫らしいと思ったこと。
そういう話を聞いてもらおうと思っていたのにぃ!
昨日夫は午前中、「ちょっと勉強してから午後行くことにした」と部屋に籠り、昼ごはんを食べてからなんだか大急ぎで出かけていった。
行き先は老人ホームに入っている夫の父のところ。コロナ禍のため面会は予約でしかできない。それでもワインや飲料水を届けにほぼ毎週、通っている。
今にして思えば15分しか許されてない面会時間なのに、なんだか帰りがやたら遅い日があった。どうしてこんなに遅いのかと尋ねると、ワインや水、父の好きな雑誌を買いに回っていると時間がかかるんだ、高速を乗らないで帰ってきたから遅くなった、ちょっと横須賀の方までドライブしてきたと、毎回理由があるのでそんなもんかと信じていた。
昨日の夕方。あの記事を書き上げ、ゴロゴロ床でアマゾンプライムを観ていた。
その時。自分でもどうしてだかわからない。急に「おかしい」と浮かんだのだ。
午前中にあんな必死に勉強して慌てて出ていく、あれ。なんか変だった。
お義父さんのところじゃない。・・・あいつ、テスト受けにいったんじゃないだろうか。
コロナの騒動の前から週末になるとあちこち出かけて行く人だった。
1日はテストか講習会、もう1日は義父のところ。
緊急時事態宣言になった時、県を跨いでの人混みの中、講習会や試験会場に行くのをやめてくれと私と息子が頼んだ。
どうしても取らなくちゃいけない資格というわけでもない。
彼の資格取得はほぼ、趣味みたいなものだということは本人も認めている。
受験資格すらも抽選で、本気で将来のために受験しようとしている若者が「抽選外れた」とTwitterで嘆いているというのに、何の必要性もなくただ、道楽でやっている中年のおじさんがふたつのアドレスを使って申し込み当選していることも大人として品がないと訴えた。
「来週からはこの騒動が落ち着くまでしばらくテスト、やめてよ」
私のいうことはきかないが、息子も出てきて「親父が悪戯に受験する代わりに誰か一人、人生かかってる奴が受けられないだぞっ」と厳しく叱られ、渋々、「わかった」と約束した。
うっかりしていた。
ここ最近の意味不明な帰宅時刻、あれも・・・もしや・・・。
間違いであってくれ。こんな疑いを持つ自分を恥じたい。のに、妙な確信が私を突き上げる。
夫の机の上を見にいってみた。普段、机も手帳ももちろん携帯も引き出しも興味ないので覗かないが、いてもたってもいられなかった。
机にはパソコンとiPadが置いてあるだけ。なんの証拠もない。
今度は階段を降り、自分のパソコンで11月14日、資格試験と打ち込んだ。
今日、関東で行われているテストの一覧がずらっと出てきた。
すぐ、見つかった。
これ。これだ。このテキスト、いつも持ってる!今、これを受けているんだ。
開始時刻も横浜で午後。当てはまる。
力なくパソコンを閉じつつも、どこかでまだ、はしたない私の妄想であってくれと祈っていた。
いつもよりさらに遅い帰宅だった。
玄関に立ちはだかり「どこ行ってたの?」と尋ねる。
「え?」学校を無断欠席したのがバレた子供のように目が宙を泳ぐ。根は善人なものだから表情がもう「嘘です」と語っている。
「ちょっと横浜とか横須賀とかドライブして帰ってきた」
ああ・・。
「うそだっ。リュックの中身みせてっ。・・・どこに行っていたんですか?ちゃんと本当のこと言うまで家に上げないっ!」
般若の面とその気迫に観念した夫は
「ここんとこずっと落ち続けていたから・・」
あっさり白状した。
ここんとこずっとってことは、ここんとこずっと嘘ついて家を出ていたということか。
泣きたくなった。
不思議と怒りはなく、ただただ、悲しかった。
にっこり笑って「じゃあいってきまーす」と言って家を出て、しれっと違うところに行っていたのか。
どうしても試験を受けたいのならどうして面と向かって私たち二人を説得しないんだ。
わからなきゃいいと、平気で家族を反いた。
「オヤジ、遅かったね」
何も知らずに降りてきた息子につい、言いつける。
「あいつ、おじいちゃんのとこじゃなかった・・・」
「テストか!」
様子のおかしい母親の様子から受けているダメージが相当なんだと理解する。
「なんかさ・・・変な例えなんだけど浮気された気分・・」
何週間も嘘をつかれていたことが自分を傷つける。
「そりゃそうだろ、同じようなもんだよ、絶対やっちゃいけないことだ」
その晩はしゃぶしゃぶの予定だった。
昨日のドタバタで夕飯を簡単に済ませたので、今日は改めてお祝いの宴にするつもりだった。
「ごめ〜ん、トンさん、ごめんね」
「あっちいけよっ。何やってんだよ、がっかりさせないでくれよ。ずっと騙してたんだな」
夫が風呂に入っている間に二人で始めようとテーブルについた。
「ごめんね、暗くしちゃって。昔はこんな時、息子には黙って陽気にしてたけど、もう、頑張れなくなっちゃててさ。」
「言え。こういうことは言わないとダメだ。・・なんだか俺もちょっとショックなんだけど」
「ねえ!なんかショックだよねぇ。」
お通夜の晩のように鍋を突っつく。
「あぁもうっ。なんで私たちが暗くなるんだよっ」
「全くだ。母さん、これで心臓、悪くするな。ちゃんと怒れ。俺以外、誰か一人でいいから話してぶちまけろ。一人で抱えるな。」
そんな心配させることも申し訳ない。
言わなければよかったと思いながら、息子が大人になっていてくれてよかったと思う。
「お風呂出ましたぁ。みなさん、ごめんなさい〜」
夫が明るい声で顔を出す。それがまた悲しい。
「もっと反省しろよっ、もう俺は口も聞きたくない。母さん、悲しんでんだろっ」
まあまあまあまあ、しょうがないじゃん。
いつもの台詞が言えない。夫の顔が見られない。
「トンさん、ごめんね。本当にごめんなさい」
気配からこれはまずいと察したらしく、口調がやや神妙になったが、それからビールをプシュッとし、このお肉、もらっていいのと聞き、誰も返事をしないと「いっただきまーす」と野菜の少なくなった鍋をさらいだした。
テレビに声をあげて笑う。この場の空気をなんとか取り戻せると思っているのだろう。
その温度差がまた私を落ち込ませる。
その晩、私は眠れず、夫は遅くまで録画していたドラマを楽しみ、遅れて寝室にやってきたがあっという間にゴーゴーとイビキをたてた。なんで私の方が弱らなくちゃならないんだ。
今朝も夫の顔が見られない。
「トンさん、昨日はごめんなさい、反省してます」
もういいよ。そう言えない。
朝ごはんも作らなかった。
夫は何も食べずに出社した。
怒っているんじゃない。
いじけているんだ。
あんまりじゃないか。
神様ぁ。
これは、なんのテストですか?
私の夫への愛情を試しているのですか?
それとも、そんなに夫息子中心にならないで、そろそろあなたも自分だけの世界を持ちなさいという暗示ですか。
それを真ん中に置いて生きなさいというサインでしょうか。
今の私にとっての自分だけの世界のこのブログで、ぶちまけました。
なんだか、そんな大したことでもないような気もしてきた。
ここに書くことで、お焚き上げできた。
聞いてくれてありがとう。
ううっ。生活は続くのねっ。