電子の世界が進んでいる

スーパーのセルフレジもだいぶ慣れた。

不器用な上に手際も悪いので、慣れたと言っても、大体の手順がわかったということで、さっさかさっさかできるわけではない。バーコードがどこにあるか、商品ごと異なるのを探し、ピッとやる。これが第一関門。それを「ここにお買い物袋をセットしてください」と書いてある台に置いた自分のエコバッグに直接入れていく。これが第二関門。一番、苦手とするところ。そして、最後、会計。ポイントカードをスキャンさせ、それからクレジットカードを差し込み処理を済ませ完了。

このシステムではカードの支払いしかできない。

あれはよろしくない。後からそんな買い物したかと忘れた頃に口座からお金が落ちる。

自分で使っておきながら図々しいが、口座振替のお知らせを受け取って、なんとなくやられたっという気分になる。

なので私は基本、現金主義だ。よほど混んでいない限り、できるだけパートのおばさんがレジ打ちをしてくれるレジに並ぶ。

先日、夕方の混雑時

「カードの支払いでいい人はこっちのレジを使えば並ばずにすぐ会計ができますよぉ〜」

店員さんが叫んでいた。

すでにおばちゃんレジで会計をする段になっていた私は思わず

「現金でやりたいものだからつい、こっちに。ごめんなさい」

とレジを打っているおばさんに話しかけてしまった。

謝りながらも心の内では「うふふふ。いいですよぉ」と笑って受け止めてくれるものと思い込んでいたが、彼女はにっこり笑いながら私を見てのたまった。

「できるだけセルフ使ってくださいねぇ。スムーズに回転しますから」

うっ。甘えていた。そうか、そうだよな。全体の流れを考えた場合、一人でもセルフを使ってくれた方が店側としては助かる。レジの回転率が上がれば売り上げも上がる。いつも行列になる店といつ行ってもスイスイ会計が済む店なら後者を選ぶから来店率も上がるだろう。

できるんだけど、つい〜。こっち来ちゃったぁ。なんてふざけたこと言う客は一人でも減ってくれた方が都合がいいに決まってる。

これからはこっちが主流になるだろうから使えるようにと、数回は使ったが、心の奥底では

「使えるけど、使わない」と決め込んでいたが、それは恥ずべきことだったかもしれない。

高速道路で周りの車の速さの流れに乗るのもマナーだという。

速く走るの怖いから、これ以上のスピードは出しませんと、ノロノロと走行する車は迷惑なんだそうだ。私は免許を持っていないが、これと似てるのではないだろうか。

それが嫌なら個人商店やデパートに行きなさい。

いや、それもどうだろう。

これからは現金を使えなくなる店の方が多くなるのかもしれない。

子供のお小遣いもプリペイドカードにしているらしい。

亡くなった父や祖母たちが天界から面白がって

「今、そんなことになってんの」

とこちらをのぞきこんでいるかもしれない。