大事な夜

今日はサッカーの大事な試合があるそうで、夫も息子もソワソワ落ち着かない。

「6時以降はLINEも携帯もを切ってしまいたい」

毎日夕方6時ごろになると必ず先輩から「これお願い」と仕事が回ってくると言う。

「多分、自分の仕事が期日まで間に合わなくなるとこっちにくるみたいなんだけど、向こうも焦っているから渡してくる仕事の量は多いし、説明も雑でさ、わけわかんないよ」

いつも突然、誰かの仕事を手伝うことになるのが日暮れ時なので、さあ今日も終わりにしようかという頃から急に忙しくなるらしい。

「いいじゃないのぉ。仕事を任せようって気になってくれるってことは少なからず、当てにされてるってことだよ。」

それでも今日だけは回ってきませんようにと願う新入社員。

「先輩の方でも試合観たいから早く終わらせるんじゃないの」

「そのために余計たくさん来たらどうしよう」

いつもは1時過ぎに昼食に降りてくるところを、3時過ぎの食事だった。

「備えてるねぇ」

「まあね」

夫も落ち着かない。

「今日は大事な日だから、早く切り上げないと」

こちらはいそいそと冷蔵庫にビールを仕込む。

ビッグゲームのある日の夜は手の込んだものは作らない。

誰も食事を味わって食べたりなんかしないからだ。

画面に釘付けでそれどころじゃない。

急に冷えてきた。

こんな日は大根多めのおでんにしよう。ウィンナーとジャガイモも入れちゃおう。

それぞれ仕事を終えた人から好きなものを突っついて、日本代表を応援する夜。

 

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庭で見つけたオンブバッタ。子供の頃の懐かしい友達に再会したようで嬉しい。