波乗り

昨日の夕方、久しぶりにスーパーに行った。このところ体調不良を言い訳にネットスーパーばかり利用していた。

ちょっと行ってみるかな。

今すぐ要るものは特にはないが、ごま油と納豆を買いに散歩がてら家を出た。

必要なものをカゴに入れ、店内を回る。せっかくきたついでにキャベツ、玉ねぎ、ヨーグルト、ジャムも買う。ポタージュの素の前でボーッと立ち止まる。これ、あると便利かも。

はっ、いかんいかん、こうやって知らず知らず「あるといいかも」が増えていく。帰ろう。

レジに並ぶ。夕暮れ時は仕事帰りに寄る人、学校帰りの若者と、どの列も長蛇だ。

「カード決済でもよろしい方は、こちらのセルフレジ、空いております」

店員さんが大きな声で誘導するが、移動する人は少ない。

私も動かない。

自分一人で全て会計処理をこなすセルフレジ。

これに初めて出会ったのはTSUTAYAだった。当時はまだセルフシステムも珍しい頃だったので、スタッフが常に立ち、困っている人を見つけては寄ってきて手伝ってくれたので、何度か教わりながらようやく使いこなせるようになったが、あまりの衝撃にしばらく通うのをやめた。

しばらくして銀座のユニクロにも導入された。ほお。さすが銀座は進んでるなあと思っていたら、あっという間に近所のユニクロにもそれが現れた。

それでもあれは、バサッと台に品物を置けばあとはそっちで会計をしてくれるのでよかった。

しかし。スーパーの場合はちょっと勝手が違う気がする。

品物も種類がバラバラで、すんなり自分一人でやれる自信がない。

私、現金支払い主義だもんねぇ〜。心の中で呟き店員さんと目を合わせない。

・・・いや、待てよ。

ここでこうして小さな革命に軽やかに乗る癖をつけておかないと、これから世の中はぐんぐん加速して変化していくのではなかろうか。

こんな些細なことに怖気付いていたら老後、ついていけなくなる。

波に乗るのだ。

のそのそ列から離れ、目新しいマシンの前に立つ。

幸い、こっちを利用する人はまだ少ないので後ろに待つ人はいない。

思う存分、迷いながらやればいい。

バーコードがどこにあるのか一つ一つ探して、ピッ。

おお、簡単じゃないか。

ふたつ買った商品はピっとしてから、✖️2のボタンを押す余裕も出てきた。

最後、会計のボタンをタッチパネルから選び押す。画面が変わり、カードを差し込めと言うので差し込み、処理完了をまち、抜いた。

おお〜。できた〜。

時代の波に乗れたぞ、無事に。

ふらりと出かけた久しぶりのスーパーで、浦島太郎は思いがけない進歩を果たした。

涼しい風にあたりながらの帰り道、なんとなぁく、嬉しかった。