この数日間、本当にやられていた。
体力的にも精神的にも力が湧いてこない。笑顔っていうのも体力がいるんだとしみじみ思いながら、張り付いた真顔で淡々と家事をしていた。
そんな状態なら横になって休めばいいのにと、それが友人だったらきっと助言する。けれどもそうやってじっとしていると普段は考えないようにしている引っ掛かりごとが脳内を巡るのだ。考えてもどうしようもない家族の問題も、自分の健康のことも「もっとなんとかできるのに努力が足りない」と思えてよせば良いのに解決を求めていろんな本を読み漁る。そうして、些細なことだったはずなのにどんどん大問題に格上げされたモヤモヤ事にますます苦しくなる。
だから私は台所に立つ。
ピーマンとなすをどう使おうかなんて考えている方が楽しいし、建設的だ。
鍋をコトコトさせていると、とりあえず、今日は真っ当に暮らしていると思える。
昨日はとうとうそれもできず、午前中からベッドに横になり、海外ドラマを見続けていた。
弱っている時にシカゴシリーズはきつい。最近はグッドドクターとシルクという法廷物を交互に見ている。
日本のドラマと違って自己主張の強い登場人物たちの言動は少しづつ私にパワーをくれる。
必要以上に反省したり、自分を変えようとか、相手に寄り添おうとかしない。
それは冷たく傲慢にも感じるが、率直でシンプルな力強さも併せ持つ。
ドラマなんだから、本当の世界じゃないんだから。でもその脚本を書いたのは本当にいる人。
虚構の中にもチラッと真実を感じる。
「私の抱えているものなんて、ドラマにもならない平和なもんだ」
そう思いながらぼんやり画面を眺めていた。
安心していいんだよな。