甘えてみた

久しぶりに不調の波がやってきた。

なんか最近、いい意味で、他人事のようにただ、「あ、きた」と受けながせるようになってきた。

原因はなんだったろう。

何がいけなかったんだろう。

何の栄養素が足りないんだろう。いや、とりすぎたのか。

これまでこんなことになるたびに、「やってしまった!」と激しく動揺し、原因を探り、素早く数日前の状態にリカバリしようと焦った。

たいていそんな時はイライラして、怒りっぽく、傷つきやすく、落ち着きがない。

思うようにいかない自分の体に向き合うのが嫌で、無駄に動き回る。

今回も多少狼狽え、落ち込んではいるが、なんというか、もう、頑張ってなんとかしようという気が起こらない。

なるようになれ。

「ちぇ。」

という感じである。

「見てみて、また顔パンパン」

髭を剃っている夫に鏡越しに見せ、共有してもらう。

こんなことできるようになったことは、私自身には驚くべき変化だ。

こんな些細なことで落ち込んでいる自分の荷物を夫に下ろすのは、甘えでカッコ悪いと思ってきたから、こんなふうに言えなかった。

もう、そんなポリシーどうでもいい。だって頑張れないんだもの。

タオルで泡だらけの顔を拭きながらじっと覗き込んできた。

「あらら。大丈夫。かわいいよ」

どうみてもかわいい顔ではない。パンパンに腫れた瞼に、こけた頬。くすんだ肌。

もう、やだっ、と嫌になる。夫の言う「かわいいよ」はその場凌ぎの応急処置のような、とりあえず感があって嘘くさい。

でも、少しだけ慰められる。

地球上で一人だけでもそう言い続けてくれる人がいる。

この人、大事にしよう。

現金なもので、メンタルが弱ると夫のありがたみを強く思うのだ。

「もう、これだけ食事や行動に気をつけててもこうなるんだったら、もう、注意するのやめようかって思う」

細心の注意を払ってお菓子も脂っこいものも我慢して、人混みも避けて、地味にやってるのに、それでも突然具合が悪くなるなら、もう馬鹿らしい、やめたっ、好きにやってやろっ。

それが一番自体を悪化させ、バカらしいことだとわかっているが、口に出すとスッキリした。

夫は眉間に皺を寄せ苦笑いするだけで、そうだそうだとも、それはダメだとも言わない。

ふーんだ。

八つ当たりをさせてもらって落ち着き、チェ、しばらくやり過ごすしかないかと気を取りなおす。

結局は淡々と、自分のできる範囲の善を繰り返していくだけだ。

少しづつ少しづつ、穏やかな心を取り戻しながら。