本末転倒

週末はほとんど台所に立たなかった。

生協に注文した冷凍食品と、配達当日冷凍庫の中身とのバランスが著しく合わず、急遽、冷凍肉をバンバン出して片っ端から調理した。

もともと体力がないのに一気にやったものだから、ヘトヘトになり翌日の朝には「も、やりたくない・・・」状態だったのだ。

自業自得なのだ。

いつ立ち上がれなくなるほどの不調がやってくるかわからないからと、備えで冷凍食品を常備しようと思ったのだ。

冷凍のササミフライ。冷凍の餃子。冷凍チャーハン、冷凍スパゲティ。

一番支えになるのは、チンすればとりあえず一食になるものだ。上記の中だとダントツお助け度の高いのがチャーハン、パスタ。

「悪い、チンして食べといて」とさえ言えば、個々になんとかしてくれる。

これらはいよいよの時の非常事態に使いたい。食べられないよう奥深く隠している。彼らは私の作るものよりカップラーメンと冷凍パスタに狂喜乱舞する。うっかり見つかった日には即、消える。

次に支えになるのはレンジに入れればでき上がるフライ。これにキャベツと味噌汁を添えれば体裁が整う。

そしてその次が焼けばいいだけの餃子。かろうじてフライパンを使う。

こういった便利加工品があって、さらに買い物に行けないけど料理する元気はある時のために冷凍肉、自分で作って保存してあるミートソースなどがびっしりと庫内を埋め尽くしていた。

 

具合が悪くなりかけても「まだまだ。まだ使わない。まだやれる、あれはいよいよの時のために取っておくんだ」とお便利食品に手をつけない。さっさと使って、また買って補充すればいいものを、数百円の出費をもったいながる。

冷静に考えたら、医療費が浮くなら微々たるもの、それで家庭内が平和になるなら惜しむべき出費ではない。

が、惜しいのだ。元気だったら使わなくていいはずのお金、と捉えているのだろうか。

ちゃっちゃと餃子でもパスタでも朝から振る舞ってしまえば家族はご機嫌、庫内スペース確保、私も楽ちんとウィンウィンウィンなのに、どうしても魔法の食品に手をつけたくない。

あれはいよいよの時のためにとっておくんだ。今、使ってなるものか。

どう考えてもおかしい。

おかしいのだが、そういうわけで、手っ取り早く解決する方法があるというのに夜中にカチンコチンの肉を取り出し朝から料理しまくったのだ。

そして、案の定、疲れ果て、土日はその反動で、台所に立ったら損でもするかのようにガス代に近寄らなかった。

では、作り置きがたくさん出来ている今はさぞ、ゆったりした心持ちでいるだろうと思われよう。

しかし。ここでも私の異常さが現れる。

せっかくあんなに苦労して作ったもの達が、減っていく・・もったいない・・。

土曜の夜に早速、ハンバーグを使った。評判が良かった。もう一回分、ある。

ほうれん草とひき肉の甘辛炒めは卵と絡めたり、そのまま出したり、便利だ。まだ半分は残っている。

作り置きを食卓に並べれば当然、それだけ保存してある冷蔵庫のタッパーが少しずつ減っていく。

ざわざわする。

もったいなくてあんまり使いたくない。

しかし、肝心なことだが冷凍庫と冷蔵庫は保存時期が大幅に違うのだ。

わすれるな、使ってこその、つくりおき。