大騒ぎ

 今日は待ちに待った金曜日。

シカゴパーティの日。

なのに私は今、ぐったりしている。時刻は午後1時5分。朝からずっと料理をしていた。

昨晩、例によって夜中に利尿剤の影響で目が覚める。夜中の1時半。

用事を済ませ、ベッドに戻り、その時ふと、本当にふと、そういえばと、携帯で生協の商品が明日何が届くんだっけと確認した。

うっすらと冷凍肉を大量に注文した覚えがある。

梅雨にも入るし、このところ体調も思わしくない日が多いので、外出しなくとも食材が家にある方がいいと思ったのだ。

ほんの一週間ほど前のことなのに自分が何を注文したかわからない。米と、冷凍肉は確かだが、後何が来るんだったっけ。

すると、とんでもないことになっていた。

何を思ったのか、冷凍の魚も頼んでいる。その上、よせばいいのに、冷凍のピラフが、よりによって1キロ、おまけに冷凍チャーハン二食分。昼に使えると思ったのだ。そうだ、そうだった。

こんなに冷凍庫に入るだろうか。結構びっしり入っていたよなあ。アイスクリームも補充したばかりだ。照り焼きにしようと鳥もも肉も買って入れてある。挽肉も。

入らない、絶対に、入らない。

夜中、一人、軽いパニックに陥り、そのまま寝ながらクックパッドで保存のきく肉料理のレシピを漁る。

冷凍ほうれん草と挽肉の炒め物、子供も喜んで食べました。

鶏肉と玉ねぎのスープ煮、ナスと鶏胸肉のポン酢甘辛炒め・・・。

材料と手順の少ないもの、そして家族が好むものを探してはメモに保存する。

何しろびっしりの冷凍庫に大量の新たな食材が届くのだ。ごっそり調理して空間を作るしかない。

あらかた何を作るか決めたが、本当にそれで大丈夫か、また解凍がすぐできるか、あれこれ気になる。

ええい。階段を降り、冷凍庫をあけ、状況を再度確認。そして真っ暗な台所の小さな机の上に朝になったら使う予定の肉を並べ、また上に戻った。

寝ないと。相当疲れるはずだ、ちゃんと寝て体力温存しないと。

そう思うのに、気持ちがたかぶり眠れない。

結局目を閉じ、うつらうつらし、次に目覚めたのは4時半だった。またトイレに行き、とうとう目も頭も冴え渡る。

この予定で生協さんが持ってきたのがちゃんと収まるだろうか。多分大丈夫だろうけどどうだろう。

もういいや、と起き上がり、台所に行き、調理を始めた。

ちらっと、もうどうせみんないないんだし、今日はシカゴを諦めて丸一日かけてのんびりやろうかと浮かぶ。

私はいつも何かあると、なんでも諦めることで対処してきた。

自分のやりたいことや主張があっても、まあいいやと、引く。その方が楽だからだ。

しかーし。今の私は、そう、違うのだ。

ドラマの中でみんながよく言うのに「集中!」もあるが、同じくらいに、いやそれ以上に多く出てくる言葉がある。

それは「諦めるな!」「諦めないでっ!」「まだ終わってない、頑張れ!」である。

そうよ、諦めないわ、頑張れば午後から時間ができる。せっかく昼の準備がないんだ、ぶっ通してやって遅い昼ごはんを食べながら、観られる。

そのまま台所に立ち続け、途中、ハンバーグを作ろうとしたらあいにく卵がなく、スーパーに買いに行き、なんとか、なんとか予定通りのものを拵え終えたのだった。

それが、1時5分、ぐったりの今である。

生協さんはまだ来ない。が、冷凍庫にはポッカリとスペースが用意されている。

やり切った・・・。

さあ、今度こそ。シカゴへの旅の始まりだ。

 

 

f:id:okirakutonton:20210604130419j:image