がんばりやさん

朝の散歩のご挨拶も「暑いわねえ」から「今日は気持ちいいわね」になってきた。

青く硬いまま落ちていた銀杏の実もうっすら黄色い。

秋の入り口が見えてきた。

いつもすれ違いざまにお辞儀をするだけのおじさんに、雨の日の朝も出会った。

小雨程度だったのでいつも通り歩きにでたら、彼もいた。

お馴染みさんのすくない中で遭遇したもの同士、ニヤッと笑う。

「雨なのにあるいてるの」

おじさんは、自分だってそうなのに笑って言う。

「はい。なんとなく」

この人と雨の中で出会うのははじめてではない。いつも同じ時間帯に同じコースを歩いているから基本、毎朝会う。

いつも見かける私のことを

「頑張り屋さんなんだね」

と笑顔で言った。

とたん、急に恥ずかしくなった。

がんばりやさん。

がんばっていると褒めてくれているのに、妙にはずかしかった。

健康になろう、元気になろう、せっかく身についたわずかな筋力をキープしようとガツガツしているのを見透かされたような気がしたからかもしれない。

でも、「がんばりやさん」ってなんだか優しい響きだ。

はじめて言われた。