ついに厚手の羽毛布団をしまい、薄地のものにした。自分のだけ。
暑い暑いと思いながら梅雨寒がくるかもなどと、とにかく寒がりなので手放すのを恐れ今日までそのままだったが、さすがに「もういいんじゃないか」と決断した。
夫と同じ部屋で眠る夏の日は、彼の体温に合わせ冷房が効いたひんやりした寝室で肌掛け羽毛をかぶる。
窓を開けて寝ようというと「不用心だから」と嫌がるのだ。
これからのシーズン、夫と息子の体温に合わせてエアコンは設定される。氷水をガブガブ飲む男たち。その横で私はカーディガンを羽織り靴下をはく。
なのに。なのにだ。
彼らは未だ、羽毛布団を手放そうとない。
恐ろしいことに、かのヌクヌクあったかシリーズ、Nウォームを上に下に掛け敷きして挟まれながら眠るのだ。
「もういい加減、しまったら」
「いや、まだ、いい」
二人揃ってそう答える。息子に至っては暑いくせに夏用の寝巻きを出してくることすら面倒で、フリースを着ている。
さすがの私ですらとっくに綿サッカーのものにしているというのに。
かたや息子はひたすら面倒くさいがために「6月いっぱいはこれでいく」と言い張り、かたや夫は「いいの、気持ちいいの」と信じ難いことを理由に拒む。
30度になった東京の6月はまだまだ続く。