不器用

三食用意する生活リズムに未だ慣れない。

テレビでお昼ご飯を覗かせてくださいという番組をよくやっているが、あそこに出てくる家庭のお昼ご飯はびっくりする。

自営業の賄いだと、たいてい奥様が従業員分のものまで用意する。

農家のお宅でもやはり、妻が仕事を抜けて家に戻り、ささっと何か拵える。

その献立がすごい。昼から唐揚げ、野菜の煮物、汁物、和物、手の込んだものをざざっとやっちゃうのだ。

ささっと、ではない。ザザザザッと勢いよく、葉っぱを切り、炒め、ドボドボっと酒や味醂、醤油を入れ、目加減で味見をしながら作り上げていくその動作は、ささっとではないのだ。ザザザザザッ、なのだ。

私なぞ、朝はどうにか味噌汁と納豆で乗り切るが、昼はいつも迷う。できるだけ、手を抜きたい。冷蔵庫に残っているものにチーズをかけてみたり、卵と炒めてみたり。いっとき、鯖缶で作るトマトソースに嵌り、魚も野菜も取れるし、あらこれ便利だわと昼はそれと決め連日出し続けたら「なんか最近、こればっかりじゃない?」と明らかに不満が出たので中止した。

献立を立てるセンスがないんだろう。

あり物で臨機応変にパッと思いついて食卓に並べる人たちを尊敬する。

結婚した当時は朝から夕飯を考え、3時から台所に立ち、一日の大半が「今晩何にしよう」だった。

それが今、昼、夜とダブルなのだ。いくらか進歩したとはいえ、依然として、バランスの取れた食事を組み立てる能力は、ない。

炒飯ですら、昼、めんどくさいのだ。本当は。

冷凍庫がもっと大きくて、冷凍食品がもっと割安だったなら。

近いうちにできるんじゃないだろうか。

冷凍室が従来の二倍あります。という冷蔵庫。

よく漁師さんの家にある、釣り上げた魚を保存しておく大きな冷凍庫。あれが欲しい。