やる気のないトンでございまする。
昨日は自堕落になるのを恐れるあまり、無意味に唐揚げやら回鍋肉やら作りまくり、それで変なスイッチが入ってしまって、ホットケーキミックスと絹ごし豆腐を混ぜ合わせ生地に残っていた野菜とチーズと乗せて焼いた。
全く、何と闘っているのか。誰も責めはしないのに。
「おいおい、やすともタイムはどうした、やめとけ」
息子も夫もジタバタ台所に立っているより、ゴロゴロ床に寝そべってドラマ観ているほうが喜ぶ。
ゼンマイが切れるように、ある時突然、ぱたっと動かなくなる恐怖があるらしい。
夫といえば、最近彼から亡くなった父と同じ匂いがしてくる。
「ちょっとごめん」
コーヒーを入れるためポットに水を入れようと、シンクの蛇口をひねりに来た。
そのとき、いい香りというのではないけれど、懐かしい匂いがした。
ちょいちょい、ある。夫の枕。脱いだ服。
あれ。この匂い・・。お父さんの。
フンガフンガ夫の服を鼻にあて、嗅ぐ。ついでに息子のと嗅いで比べてみる。
やっぱり違う。夫の方が父の匂いだ。
いつの間に。婚約していた頃、彼のコートからしてきたのは、明らかにこれとは違うものだった。中年男子の匂いに変化したという現象か。
高校生の頃「お父さんってさ、なんか変な匂いがするよね」と友達が言っていた。
ファザコンの私はそれがピンとこず、「そう?」と適当にかわしていたが、もしや、これを言っていたのかもしれない。
つまり、私の愛した父の匂いは、中年独特の加齢臭だったのか。
よく犬を飼っている人が、飼い犬の耳の中の匂いがたまらないとか、肉球のところがいい匂いでと、言うのを聞くが、アレと同じなのかもしれない。
他人からしたら積極的に吸い込みたいものではないが、個人的に細胞が反応するいい匂い。
加齢臭の類いとわかったところで、脳が「いい匂い」と反応することに変わりはない。
色々タイプや種類があるのだろうが、夫が亡き父と同じ系統だったことは嬉しい発見である。