私の味

夫の出張も残りあと1日。

私の春休みもあと1日かと思うとダラダラするにも念が入る。

ネットで見つけたピーマンの肉詰めを一気にオーブンで作る方法も、ちょうど材料が家にあるからやってみようと立ち上がり、はっいかん、明日帰ってくるんだ、今日は余計なことしないでとことんサボらないと!とまた寝そべる。

彼が家にいたところで甲斐甲斐しく働くのかといえば、そうでもないくせに、なんとなく、期間限定と思うと、とことん味わい尽くさないとと気が焦る。

このお休み期間中、使いまくってやろうと思っていた冷凍庫のお惣菜も、いざとなると、まだまだ、まだまだと、勿体無がっていたらあっという間に最終日になってしまった。

チンするだけのチキンカツとか、作り置きのミートソースにキーマカレー、揚げるだけの冷凍アジフライ。使い損なった。

なんだか損した気分だ。

大型連休に使おう。うしし。

ずっとコンビニで買ったものか、ラーメン屋、牛丼屋だったはずだから、帰ってきたらなにを食べたいと思うんだろう。

家庭の味。

夫にとって家庭の味とはなんだ。

そういえば、息子にとってのお袋の味も未だ確立されてない。

母さんの作るあれ、あれ作ってってものがない。

毎回味の変わる豚汁に、バーモントさんに頼りきったカレー、豆腐を入れたり、パン粉の量がまちまちで硬さと味の定まらないハンバーグ。

・・・生姜焼き?

じゃがいもとベーコンの炒め蒸し?

明日、帰ってくる。

とりあえず、好物の納豆と、キャベツと油げの味噌汁、鯵の干物を用意しておこう。

「あぁ、トンさんの肉じゃがが恋しい」

などと夫も思っていまい。