実は相変わらず笑顔がうまく作れない。
それでも二日に一回くらいはテレビの何かに「ふふ」と声を出す。
これは腹の底からおかしくて笑っているのではなく、ちょっと笑っておこうかと、一緒に食事をしている家族へのマナーのような・・付き合い笑い。
食事が済んだ後も、団欒の空気が続いていると私もテーブルについてぼんやりみんなが観ている番組を観る。
それほど面白いと思っていない。
横になりたい。
できることならテレビの騒音も消したい。
けれど暗い表情でつまらなそうにしちゃいけない。
話しかけてくる二人の笑顔が一瞬曇り「どした?調子悪いの?」と聞いてくるから。
そんなことを考えながら、誰かが席を立つのを待ちながらそこにいる。
頭の中で一人、自己完結。
夫に素直になろうと書いた。
私の事情で堪え性がなくてごめん、ユーモアでかわせない。嫌なんだ、協力して。
笑えなくてごめんと言うのと同じくらい勇気がいる。
勇気がなくてまだ言ってない。
精神的にも体力的にも壊れるか持ち堪えるかの境界線にいるような気がする。前回はここで踏ん張って失敗した。
自分はいい人でも我慢強い人でもなかった。ただの我儘な人間だった。
自己完結はもうやめて、些細なことも二人には共有してもらってみようかな。
じわじわ意識が動いている。小さく変化を感じる。
私がトイレにいようと寝ていようと自分の話をしてくる夫。
心配事ができると、しつこいくらいに「大丈夫だと思うか」と解決するまで繰り返す息子。
うんざり「そんなのいちいち話してこないで」と一人になりたいなんて言ってるけれど、そんな二人の方がずっとずっと生きる力がある。
ずっと解放されていて素直なんだ。
私は迷惑かけまいとするいじっぱり。
叱られないように、認められるように褒められるように。
・・・・で、誰に?
誰に認められて、褒められたいの?
・・・・・。
・・・・・・・・・・。
夫でもない、息子でもないのは確かだ。
・・・私か・・・?私に?
私が一番私を受け入れていないのかも。
昨日の夜、思い切って食事の後「ちょっとすんません」とホットカーペットに寝転びイヤフォンをして、目を瞑った。
みんなで一緒にくつろいでいる空気を私が崩した。
みんながテレビを見続けているその横でゴロンと横になり毛布をかぶる。
二人の笑い声と画面からの音声が時々遠くで聞こえる。
「どうした、具合悪いの?」
「うううん、眠いだけ」
「寝なさい、ダラダラしなさい」
二人はまたテレビを見始め、それっきりこっちには関心を示さない。
あったかい。体がほどける。
ああ、いい気持ち。
なんだ。
こうすればよかったのか、これでいいのか。
気持ちいいなあ。
素直って難しい。