葉書と便箋

友達から誕生日を祝うハガキが届いた。

「ラインでとも思ったんだけど、手紙を書きたくなって。そんなわけで遅れてしまってごめんね。お誕生日おめでとう」

地方に住む彼女は東京のコロナ事情はもっと息苦しいのではないか、こっちもそれなりにピリピリしていて、外食はたまにランチをするくらい。ストレスが溜まってきたから今日10キロ走ってきた。気持ちよかったよ。コロナが落ち着いたらまたキミちゃんも誘って一泊お泊まりしたいね。と紙面いっぱいに書いてある。

懐かしい小さくて几帳面で、ちょっと丸っこい文字が並んでいる。

学生の時、よく覗き込んだノートにあったあの文字だ。

嬉しくてすぐ返事を書いた。

「ハガキをありがとう。ラインもいいけれど、懐かしい文字にほっこりしたよ。ありがとう」

体調を崩していることは書かなかった。

気持ちが弱っているところにやってきたから、余計に熱くなる。込み上げてくる想いを抑えているつもりだが、ついついあれもこれもと書き連ね、3枚になった。

「浮かれてあれこれおしゃべりがとまらないよ。コロナが落ち着くのが待ち遠しい。キミちゃんもそろそろ自由がきくだろうか。会いたいね。その日を楽しみに」

封をしてすぐポストに入れに行った。

届くのは明後日ごろかな。

今日の私のこの興奮を彼女が読むのはまた後日。

そして今日私が読んだ彼女の丸っこい文字は、数日前のもの。

友達っていいな。