それぞれの

結局直前になってまた抜歯した傷が痛みだし、ミートソーススパゲティは中止になり、マッシュポテトの山と、ミートソース、小さく切ったウィンナーと例の豆腐団子とパンと、とりあえず食べられるものを並べたものになった。

久しぶりに単品で楽になるかと心弾んだが、ぬか喜びに終わった。

今夜は余計な期待はすまい。

圧力鍋で大根、冷凍ロールキャベツ、ジャガイモ、玉ねぎをとろっとろになるまで煮た。

味付けはちょっと甘いおでんのような感じにしようと、みりんをジャボジャボ入れる。

大根の煮物は二人とも好物だ。どうして忘れていたんだろう、圧力鍋を。久しぶりの離乳食っぽい食事の準備に張り切り、肩に力が入りすぎていた。

根性なしの「甲斐甲斐しい母さん」もだんだん疲れてきて、特別料理を作ることにも飽きてきた。デンっと二人が食べられるものをと考える。

鍋の中に仕上げに油揚巾着とウィンナーを入れよう。

夫はこれに鶏肉を焼いて、息子は卵でも焼いてふわふわパンでいい。

脂っこいものを食べられない私は、野菜だけもらって、鶏胸肉を焼こう。

 夜、食べるものが決まっていると落ち着く。

食べる時間も食べられるものもみんなまちまち。

好きな映画も読む本も、みたい番組もバラバラ。

それぞれちょっとずつ、残りの二人どっちかと似ているところがあって、強烈に受け入れられないところがある。

今夜もバラバラ献立。

それぞれ献立。