惜しいっ

昨日の、家族三人の騒動を「きっといつか懐かしく思い返す日が来る」と半ば自己暗示のように呟いた記事。

あの中で起きていたやりとり。

 

午後に起きてきておきながら、まったりテレビのワイドショーを観ながらパンを齧り付く息子の横で、お盆に載せた自分の食事を持ってテーブルについた。

「それ、昼ごはん?」

「ええ、私は、これで二食目なので。昼、ご飯ということになります」

「俺、これ、ブランチ」

へへへと笑い、また画面に目を戻す。

そこに夫が降りてきて、いつもの通り「何か食べるものある?お。今起きたのか、おはよう〜。あ、もうオソヨウかな?ご飯食べてるのか、美味しいか?」息子に絡む。

「うるせえよっ、ベタベタすんなっ」

いつもの騒動が始まった。

普段はやれやれと思いながら黙ってやりすごすのだが、今日はテレビで都知事の恒例記者会見がある。その内容が知りたい。暴言を吐いた森会長のことにどう触れるんだろう。

しかし二人の声が大きくて何を言っているのか全く聞き取れない。

黙ってボリュームを上げた。

「テレビの音、うるさいよっ」

息子が咎める。

「だって20にしろって言ったの息子じゃん」

「もう今は20もうるさい、17でいいんだよ」

洗濯機が回っていたり水道の音がしていたりすると、聞こえづらいので家事をやりながら見たい番組がついているときは音量を上げてしまう。23だったり24だったり。それをよく怒られ、「音量は20だ」と常日頃から言われている。

今はそれでもよく聞こえないが、息子がまたうるさく言ってくるので20で我慢したのにと反論した。

「20でもうるさいんだよっ」

「あら、テレビのボリュームは20以下にはしないって決まったんだよ」

「そんなのいつ決まったんだよ」

「今日の午前中」

「・・・・」

「本日午前の閣議で決議されました。ね、父さん」

「ん?あ、そうそう。母さんのいう通り。なんでも母さんのいう通りですよ」

「くっそー。」

午前中の会議か、それなら仕方ないなと、息子はニヤニヤ諦めた。

「よし、明日の会議では17にしてやるからなっ、覚えとけ」

「我が家の会議はいつも午前中のみですので。」

「臨むところだ」

 

本日の息子の起床時刻、12時15分。

惜しいっ!