相変わらず息子の昼夜逆転は続いている。
昼近くだったのが、正午に、1時にとだんだん態度が悪くなっている。
声をかけて起こすのも面倒なので放っているが、いくらなんでもこれはひどい。
今日も1時すぎに、本人曰く、朝食だという第一食目の厚切りトースト2枚をパクついていた。
「テレビつけていい?」
そこに夫が降りてきた。
「お昼食べていい?お、起きたのか、なんだいいの食べてるなぁ。父さんのもある?いいなそれ、パンか?美味しいか?」
息子命の夫はとにかく絡む。
「うるせえな。ベタベタ赤ちゃん言葉でしゃべりかけるな」
そう。お恥ずかしながら夫は家庭内で頻繁に妙なイントネーションで話す。
でしゅ、ましゅとまではいかないが、大人が幼児相手に話す時のあの、独特の甘ったるい発音で話してくるのだ。
息子も私もそれを激しく拒絶し、何度もやめてくれと言うのだが、言ったそのそばから
「ごめえ〜ん」
と、またベタベタした舌ったらずな口調で返事する。
会社に通っていた頃は、外で働いて家でほっと力を抜きたいんだろうと、流していたのだが、こう毎日朝から晩まで聞かされると息子でなくても正直私もうんざりする。
「トウシャンも何か食べるものある?」
「その発音やめてっ」
するとそこに息子が加わった。
「そうやっていつまで経っても同じこと繰り返すのは直すつもりがないからだっ。」
人には厳しいのう・・。
「な、そうだよな、母さん、本気で直そうと思ってないんだ、だからもうやめるもうやめるって言いながら改善されないんだっ、そうだよなっ」
「そういうとこ、よく似てるよ。明日こそ午前中に起きるんだって言いながら結局午後にならないと起きてこないもんねぇ」
「・・・・俺のは違う」
「違わない。ほんと、DNAってあるのねぇ・・・気の毒に・・・」
そこで夫が
「わーいわーい、父さんと似てるぅ〜。DNAだぁ〜」
と浮かれてはしゃぐ。
「違うっ。俺のは違うっ」
「わーい、わーい。親子だぁ〜。父さんの血が流れてるんだぁ〜」
「やめろっ」
テレビの音に二人の声が重なって騒々しい。
うるさいなあ。
何年後か、きっとこの日々を懐かしく思い出すのだろう。
コロナでみんな家にいて。息子はまだ社会に出る前で。
寄ると触ると大騒ぎで。
きっとそんな日を懐かしむ時が来るのだ。