非生産的生活をよしとする口実

交通機関使用禁止令が家族から言い渡されているので、このところずっと近所のスーパーが、唯一の「お出かけ先」だ。

犬の散歩だと姉と母は笑うが本当にその通り。

往復30分ほどかけて、お決まりのコースを歩き、いつもの店に寄って同じ道を戻ってくる。

家の中で充実した時間を持とうと、動画サービスに加入しては、退会し、また別のに入っては退会し。

初めは、「うわあ、こんなに色々あるんだ、うわ、雑誌も漫画もある」などと目新しさに興奮して飛びついたが、やはり今はじっくり映画もドラマも観る気力がない。ウォッチリストに作品ばかり溜まっていく。

マンガ大賞をとったという作品も、張り切って読み始めたもののいまひとつ、のれない。

行き着くところは結局YouTubeで「大吉先生」の漫才を聞きながらのiPadのパズルなのだ。

夫と息子が変わるがわる二階から降りてきて、何やら話しかけてくる。

それによって時間が分断されるのも、映画や本に気持ちが入らない原因の一つだ。

それぞれどうでもいいような話を一通り喋っては2階に戻って行くのだが、その所要時間もその時々まちまちで、すぐいなくなる時もあれば、そのまま居座りテレビを見始めることもある。

どんな展開になろうと、すぐ中断できる程度のものならそれも気にならないが、何かに夢中になっている真っ最中だと、存在が煩わしくなる。

早く消えないかなぁ・・などと思ってしまう。

息子にしろ、夫にしろ、嬉しそうにあれこれ喋ってくるのに対し、さもめんどくさそうに相槌を打つ。

あっちはあっちで何かに夢中になってきたばかりの息抜きに降りてきてるものだから、そんなのお構いなしにベラベラ喋り続ける。

コロナ態勢の間は、まとまった時間を確保して何かに没頭するのは難しい。

 

ちょうどいいや。

 

体調が落ちて何をやっても手付かずで「今日も生産的なことをしていない」と自己嫌悪になりそうだったんだ。

ご飯作って掃除して、買い物行って家族の話し相手になって、合間に大吉先生でほっこり。

私のコロナ生活、しばらくこれでいいことにしよ。

私らしいや。