肝に

正午。

掃除洗濯がすみ、夫の昼食用のカレーと夕飯のポトフを作り終えた。

作り置きが冷蔵庫にたんまりとあるというのに、どうしても台所に立つ。

台所に自分の存在価値を求めているのかもしれない。実際、何か食べ物を拵えて食卓に出していれば「ああ私はちゃんとやることやってる」と安心できる。

これは健全ではない。こんなことに自分の価値を求めるのはおかしいのではないか。

子供の頃から母に何をやってもダメな人と言われ、賢い姉と比べられてきた後遺症と、ずっと思ってきたが、違う。

ちがう。

同じことを言われたって「ふーん、私は私だもんねー」とふんぞりかえって、我が道を歩めたはずだ。

いい歳していつまでも母や姉の言動に過剰反応するのは、自分が努力することから逃げて楽な道を選んできたが故に己に自信をもてないからだ。

人と自分を比べないこと。

頭より身体の声を聞くこと。

自分を自分以上にしようとしないこと。

今年はこれを肝に銘じよう。

 

てなわけで、午後はまったり日向で過ごそう。

頑張ってあれこれ拵えたところで、家族は美味しい冷凍のパスタを出せば喜ぶんだ。

疲れ切ってどんよりしてるカミさんや母さんよりは、ヘラヘラ機嫌よくしている方が彼らにとってはいいのかもしれない。

人に優しく。

私にはもっと優しく。