悔しい

只今、夫に対して怒っている真っ最中である。

原因はと聞かれたら、言うのも恥ずかしいほど下らなく、些細などうでもいいことなのだが、怒っている。

つまらぬ嘘をつかれた。気がついていたが黙っていた。しかし、あんまりシレッと何度も同じ嘘をつくので

「あたしゃ見抜いている」

とやんわり釘をさした。

それが二日前の朝。

しかしそれでも適当なことを言ってごまかし、またその日に同じことを繰り返したので、怒ったのだ。

「ゴメェン、トンさーん」

シレシレッとテレビを観ながら謝り、そのあとテレビ番組にゲタゲタ笑った。

怒っていることが伝わっていないのだ。

着火。本気で腹が立ってしまった。

これまで、ごめんと言われると、それ以上謝らせるのもと、溜飲を下げてきた。

いつまでもネチネチするのも女が廃ると、無理やり押さえて機嫌を直す。

夫が私の顔色を伺って、ソワソワしてるその様子が気の毒になって「まったくもう」と笑いに変えてきたのだが、こうも顔色すら伺われずあしらわれると「なめんじゃないっ」とこらしめたくなる。

「もう本当に嫌だ。嘘をつかれたのも嫌だけど、正当化しようとしてその嘘を押し通すのも嫌。そして私が怒っているのに適当に流してごまかそうとしてるはもっと嫌。」

「トンさーん。ごめん〜、今度埋め合わせするからぁ」

「埋め合わせじゃないっ、罪滅ぼしっていうんだっ」

どうやら今回は本気のようだとなるまで二日。

いいかげんこっちが疲れてきた。今朝から胃が痛い。

今日から有給消費で5日間休みの夫は、今もテレビを観てハッハッハと楽しそうだ。

そしてそして、悔しいことに、それでも夫が平日の夕方、リビングのテーブルに座っていることがなんか嬉しい自分が悔しい。