美しい光景だった

やはりやる気出ず。

昨晩、ベッドに入って目をつぶっていたら胸が痛くなってきた。

しばらくしたら消えるだろうと思っていたら、だんだん痛みの感覚が短く強くなってくる。

苦しいわけでも、息ができないほど痛いわけでもないが、こんなこと初めてなので怖くなり、起き上がり、階段を降り経口補水液を飲んだ。

200mlを二つ空にしてじっとしていると治った。

 

それでも今日は、気になっていた門の電灯にかかっていた蜘蛛の巣をはらった。

ハロウィーン間近、ホーッテッドマンションのようだ。

ついでに家の前を掃こうと表に出ようとしたら、お向かいのご夫婦の声がした。

「やだよ、いいよ、自分でできますよ」

「いいから、いいから。いいじゃないの」

「うふふ。恥ずかしいよ」

「いいから」

門の隙間から覗くとご高齢のお二人が、車椅子をご主人が押すというのを、奥様が恥ずかしがっていて、いいからいいからとなさっていらっしゃるところだった。

いつもむすっとしているご主人に、決して甘えたりしなさそうな奥様。

「あなたもよくなさってますね。感心なことだと思っていますよ」

時々、私に声をかけてくださる奥様の話の印象から、どちらかと言うと古風で厳しい昭和の夫に昭和の妻、決してうふふと、戯れたりしないんだろうと勝手に思っていたので少し驚いた。

そっと、門から離れ、下がる。

なんだか今出て行ってはならぬ気がした。

しばらくして戻ると、そこにはもう誰もいなかった。

お二人はどこかにお出かけになったのだろうか。

ご主人に押され、おしゃべりしなら。

 午前の暖かな陽を浴びながら。