台風よりも台風な夫

金曜日、土曜日となんだか忙しかった。

夫がいきなり休みをとった、だけど講習のライブ映像を見る予定だからとなぜか得意げに言う。

机に座って一日過ごすのならばいつもと一緒じゃないか。言わなくてもいいのに、わざわざ降りてきて報告するのは彼にとっては「明日はちょっと違う日」と張り切っているからだろう。

私にはなんのメリットもない。いや待てよ。朝はゆっくりできるのかもしれない。

「うん、始まるのが9時だからちょっとゆっくりかな。あ、でも、昼休憩が12時から30分だからパパッと食べられるもの、なんか用意しといて」

いつもより忙しないじゃないか。

台風に備え買い出しをしに行った。とりあえず野菜としゃぶしゃぶ肉。

秋から冬の週末は有無を言わせずお鍋。

一週間分の不足した野菜をここで補い、油を抜いてバランスを取る。

と言うのはもちろん言い訳である。

朝から今夜の献立を考えることなくダラダラ過ごしたいためだけだ。

白菜が安くなってきた。ついつい山ほど買って帰る。

 

土曜は住宅メーカーが25年点検が来た。

1時からの予定だが、朝から夫は落ち着かない。

かったるい私は態度悪く、しめしめこの雨なら延期だろうと、連絡を期待して待つが、あちらも予定が混み合っているからか、多少のことでは中止にしない。

「あれ、洗濯機壊れた?壊れた!ダメだこれ」

脱水になると勝手に止まってしまうのは、もう数週間も前から。

その度に中に手を突っ込み衣類の位置を均して蓋を閉め再スタートさせると、また動き出す。均し方がうまくないと、クルクル回り始めてまたすぐ止まり、注水からやり直してしまう。

コツをつかんでいるので「そろそろガタがきたなあ」と思いつつも今すぐどうこうするつもりなく使っていた。

この状況は話していた。へえ・・・と流していた夫が土曜の午前、初めて現場に出くわした。

「ダメだ、これ、買おう、新しいの。今日、行く?点検が終わったら行くでしょ?」

疑問形ではあるが、もう決めている。拒否はできるが、「じゃ、僕がいって買ってくる」となるだけである。

見た目と最新というだけで買ってしまう彼の買い物を放置するのは恐ろしい。

帰ってから野菜を切ったりなんだりはやだなあと、温めればいいだけにしてから出かけよう。

夕飯の支度を始める。

無意識のうちに冷蔵庫に残っていた野菜を切り無意識のうちにクリームシチューを仕掛けた。

唐揚げももう、揚げてしまおう。あれ、鶏肉が思ったより少なかった。冷凍庫からピーマンの肉詰めを出し、これも焼く。

やりながら「お鍋の方がずっと楽だったかも」とうっすら思う。

 

結局夫は最新式を買うと言い張った。

最近の洗濯機はどれも大きい。

その中で一つだけこじんまりとして、有名メーカーが2年前に製産したものがあった。

サイズも我が家のスペースにすっぽり収まる。

最新機能はついてないが、洗って脱水してくれればいい。

「同じメーカーならこっちがいいよ、これ、入るよ、この大きさ、こんな感じだもん今使ってるの」

夫は頑として譲らない。メモしていったサイズより2センチ横幅が大きいのに大丈夫だと言い張る。

「これ、在庫ありますかね。今日頼んだらいつ届きます?」

そんな高いのじゃなくていいから、大きすぎるからという妻の訴えは無視された。

不安だ。

 

日曜日。

夫は朝から床屋に行き、その後義父のところに出かけて行った。

息子は二階で卒論を書いている。

ほっこり自分時間ができたわけだか、ヘナチョコはまたしても下痢と目眩でぼんやりしている。

動画を少し観ては「気分がのらない」。三日前まではハマっていたはずの本を開いても「違う、のれない」。

美味しいものでも食べようか。・・・作るのも億劫だ。

お煎餅と甘納豆を口に入れながらインスタントコーヒーをすすりながらradikoのタイムフリーでお気に入りの番組を聴く。

これやこれや。このいい加減な感じや。

まったり。ダラダラ。のんびり。うだうだ。

いい言葉だなぁ。

今日こそ、鍋や。