考えすぎる

朝からポトフを仕込み、もやしを塩麹につけておいた豚肉で包み、薬局でハンドソープを、スーパーで特売の鶏胸肉におでんの材料を買う。

午後から雨だという。干しておいた洗濯物も取り込み、シーツも掛け替え、準備万端、1時からはまったりラジオを聴くのだ。

昼食も済ませ、さてさてというところにラインが入っているのに気がついた。

「娘も夫もみんなでかけたよ。お茶、いかが?」

あうっ。今日は・・・。

今は行きたくない。彼女は好きだし、もちろん彼女の家も居心地は良い。

しかし、今日の午後は家でまったり過ごしたいのだ。

ラジオを聴きながらぼんやり、ぬぼうっと篭りたい。

とっさに夕方宅急便が届くことを思い出す。

「ありがとう。ごめんね、午後、業者さんが来る予定なんだ。」

嘘ではないが嘘だよなあと言う返事を打った。

「了解。また今度ね」

わだかまりもなくすんなりそれで済んだ。

楽しみにしていた番組が始まった。しかしさっきまでのウキウキは、もう、ない。

嘘ついたような、正直でなかったことへのチクチクが私を責める。

そんなら行けばよかったかと問えば、やはりしんどくて行きたくない。

そんなら正直に伝えればよかったかと問えば、いくらなんでも「ラジオを聴きたいから、行かない」では相手も気分を害するよなあとうなだれる。

相手の気分を害することを回避するのは偽善か。保身か。

いやいやいや。なんでも率直に言うのもある意味保身だろう。

「ごめん、昨日草むしりしてすごく疲れてて、朝からスーパー行ったり、シーツ洗ったりしてて、そんでもって今日は昨日から午後はラジオを聴きながらまったり過ごすの楽しみにしてて、ごめんね。またにしてくれる?」

・・・ってのが正解だったのか?

なんだか上から目線だ。偉そうに。オマエ、何様だよ。

偉そうに思われるのが嫌なのか、私は。それは保身じゃないのか。自己中じゃないか。

 

ラジオが耳を頭をすり抜けていく。全く味わえない。

タイミングが悪かったなあ。