衣替えの前に

束の間のお気に入りの場所もはかなく退所となった。

 

つい先週、半袖で草むしりをしていたというのに気がつけば秋めいた気温になっていた。

秋は大好きだ。季節の中で一番好きだ。夏のエネルギー溢れる力強さもゆるみ、さやさやさやっとやってくる、ひんやりした風。もう戦いは終わり。さあ、お部屋の中でゆっくり過ごす季節の始まりだ。

 

窓際においた私の居場所、机。はかなかった。もう冷気が気になって落ちつかない。

痩せた身体というものは皮下脂肪が少ない。皮下脂肪が少ないということは断熱材になるものが通常より少ないということなのだ。

寒さがダイレクトにくる。骨身に染みるとはうまくいったものだと思う。寒さがいよいよ厳しくなってくると、本当に骨と内臓まで冷たくなるような気がしてくるのだ。

一度、内部まで冷やしてしまうと戻るのには時間がかかる。

些細な冷えにも油断せず、早めに対処しておこうと、机を持ち上げる。

ここでぼんやり外を眺めるのがよかったのになあ。

机を抱え、次の居場所を求めぐるぐる回る。

テレワークでなかった時には、午前中の二階の寝室はほどよく日が当たり、窓際の机で背中に日光を受けてぬくぬく過ごした。

午後、太陽が移動し、窓から冷たい空気が感じられると、今度はベッドに転がり、ぬくぬく過ごした。

秋は至福の季節だったのだ。今は一日中、夫がそこで仕事をしている。

机を反対側の壁に向けて置いてみた。

左側にはガスファンヒーターがある。ふふ。今のうちにさりげなく、この『暖かベストポジション』を陣取ろう。

冬の朝、男チームは起きるとまず、ここに立って暖をとる。今年は私がいただいた。不平不満が出るまで居座ろう。

ここもまた仮の宿のような気がする。

いよいよヒーターをつけたら机が温風の循環を妨げるかもしれない。そうしたらまた次の居場所を求め移動しよう。

夏の場所。秋の場所。冬の場所。

季節季節でリビングの中を、無印の折り畳み机を持ってぐるぐる彷徨う。