自信持っていいよ

昨日の皮膚科では、症状はそう悪くなっていなかった。

退院してから抱えた後遺症のうち一つ、ストレスからくるアレルギー湿疹。

薬をもらって塗っても頭の中が痒かったので「こりゃ相当悪化しちゃったな」と思い込んで行ったら違った。

「どれどれ、ちょっと見せてね」

しばらく来なかったことを咎められ、気持ちが沈んだり波があって来られなかったと言った。

この先生には不思議と暗いところを話してしまう。

「そういう時こそ顔見せにきてよ。でもなんだか目に力が出てきたようだけど?」

そう言って先生は私の髪を後ろから掻き上げた。

「あれ?なんか髪、増えてない?」

「はあ・・自分でもここんとこ、髪を縛る時、なんか束が若干太くなった気がして・・」

「そうよ、増えてるよ!髪が太くなってる!だってなんか色艶も違うもん!」

サバサバ先生がそう言ってくれると、真実味があって嬉しさの度合いも増す。

「湿疹も前よりひどくないよ、ちょっと荒れてるけど、前はもっと酷かった」

この時の気持ちをどう表現したらいいんだろう。

「・・・来てよかったぁ、今日・・」

思わず頭をガクンと垂れ、脱力した。

サバサバ先生は時々毒舌先生にもなる。

こんなにひどくしちゃってマメに来ないからだ、とまた怒られるんだろうなあ。でも薬要るしなあと覚悟を決めてやってきたのだが、思いもよらない展開に、力が緩む。

「先生率直だから、先生にそう言っていただくと、しみじみ嬉しいです」

へへへ。私嘘つけないからねと笑うがその声は優しかった。

「いいのいいの、食べられるもの、なんでもいいから食べてれば。栄養なんかどうでもいいから。体重も無理に増やそうとしなくていいよ。肌艶いいもん、大丈夫、自信持っていいよ」

自信持っていいよ。

 

自信持っていいよ。

体調不安も、人間としても、女性としても。

 

これまで、精神科、内科、カウンセラー、耳鼻科、外科、泌尿器、あちこちお世話になってきたが、お医者さんに言われた肯定的な言葉の中で昨日のそれはじんわり柔らかく私を包んだ。

嬉しかった。

 自信、持っていいんだ・・・。

 持ってみようか・・・。

 一夜明けた今日も、何度も頭の中であの場面を反芻してしゃぶって味わっている。

自信、持ってみようか・・・。