昨夜、結構な量の雨音を聞きながら企んでいた。
明日、暑くなる前に草むしりをしよう。
連日の猛暑ですっかり諦め手付かずの庭は草原のようになりつつある。
「母さんはすぐ芝刈りするけど、俺としてはこれくらいの方が好きだけどな」
息子はそう言うが、そうやって眺めているうちに草はどんどん伸びてゆく。
ハッと気がついたときには、手を付ける気力もなくなるほどになるのだ。
天気予報は火曜水曜だけ、温度が下がると言っている。
ここを逃すとまた猛暑になり、買い物に出るのさえ命がけの日々に戻ってしまう。
先日、母方の祖母の墓参りに行った。
「最近、おばあちゃんが夢に出てくるのよ」
母にそう言われるとこっちまで気になる。なんかメッセージがあるのかと夫に頼んで車で1時間、調布にある霊園に向かったのだった。
着いてすぐ、3人揃って合点が入った。
屋根もなく、木陰もなく、墓石目掛けて直射日光が突き刺さっている。
その周りを草がぼうぼうと伸び放題に伸び、墓は荒れていた。
「暑い。水をくれ。草を抜いてくれ。暑苦しいわよってことだね」
そう言いながら3人で38度の炎天下、それでも30分ほど、草をむしり、墓を磨いた。
水筒に冷たいお茶をたくさん作って持って行ったのに、帰宅後は軽い熱中症か、ぐったり何もできずピザをとった。
それが先週の土曜日の出来事。実を言うと日、月とそれを引きずり、使い物にならなかった。
炎天下の草むしりは危険。
今朝、まだしんどい。
やめとくか。
やれる気もする。
30分だけ。
チャンスを逃したくない焦りと、連日だらだらし続けている後ろめたさを払拭したいのとで、庭に出た。
30分じゃ対してきれいにならないだろうから、これだけやったと自分を満足させるため、作業前、荒れさ加減を写真に撮る。
楽しくなくなったらやめよう。
しんどいと感じたらすぐやめよう。
気がつくと1時間。
ここまでだ。
見渡してみても対して変わりがない気がする。
もう一回シャッターを切り、さっきの画像と見比べてみた。
どうだ。
おお、だいぶスッキリしてるじゃないか。
まだやれる気がする。気分は高揚しているが、グッと我慢だ。
もうちょっとやりたいなあと思うところでやめるのが続けるコツだ。
「お昼なんかあるかね」
夫が降りてきた。自己満済なのでいつものように「見てよ見てよ」と言う必要はない。
が、やはり言う。
「見てよ、庭」
「おお」
お愛想程度の賛辞をもらい、さらに満ち足りた。
今日はやった・・充足感。
これで安心して、午後はのんびりしてよし、と思える。
今晩は昨夜のキーマカレーにして、よし。