どちらも濃紺サッカー生地

朝目が覚めて、いつものようにトイレにいく。

いつものようにズボンを下ろし腰掛ける。

ボー・・・・ん?

膝にあるズボンのウエストゴムのロゴにpoloとある。

ポロとな?私のはユニクロ、ポロは・・・

ザ〜っ!!

額に三本線が降りてくる。

こ、こ、こ、こ、これはっ!夫の!!

と、と、と、ということはっ!

慌てて洗面所に降りてゆく。

早起きの彼が鼻歌まじりに髭を剃っている。

頼む。どうか長ズボンのパジャマを着ていてくれっ。似たような私のリラコが近くにあってもそれではなく、もう一つ脇にあるだろ、しまい損ねたままになっている、君のスウェット上下がっ、そっちを着ていてくれええええ。

「おはよ〜」

フンフンご機嫌で私のリラコを履いた泡だらけの口の夫がそこに立っていた。

ああっ。。

「とっかえっこになっちゃった」

「え?」

「ズボン、それが私ので、私が履いてるのが君の」

「あぁ。どうりで、なんかちっちゃいなあと思ったんだよね、ごめんごめん」

「いや、先にお風呂に入ったのは私だ・・・脱衣所で間違えたのは私だから・・」

なんで気がつかなかったんだろう。

こんな衝撃、久しぶりだ。

しかし、夫が女性Sサイズのリラコを履けたということは、少しはあのお腹も引っ込んできていると言えるのかもしれない。

単身赴任からの帰宅後一年半。パーンと膨れ上がったあのお腹をなんとかせねばと、やれハンバーグにゴボウの笹掻きを入れてみたり、茹で豚をストックしてみたりとあれこれ地道な努力をしてきた甲斐があったというものだ。

そうか。

この履き違えハプニングは、神様が「ほれほれ、効果出ているぞよ」と知らせるために仕組んでくださったものだったのか。

 

・・・ということにした。