お邪魔もの

今日の会議は10時からと聞いていた。

洗濯物が洗上が時計を見ると9時半。まだいける。

まとめて抱え階段を上がり扉を開けた。

念のためとそうっと開けたのは正解で、会議はもう始まっていた。

「あ」

思わず声を出すと気持ち悪いような笑顔で夫が振り向いた。

「ん?あ、どうぞ」

左手で入っていいよと招き入れるような合図をするが、明らかに会議中、小さく区切られた画面上に複数の女性男性がこちらを見ている気がする。

この流れで引っ込むのも却っておかしいかなと、中に入ることにした。

先日買ったパーテーションが入り口近くに移っていた。夫が会議中、万が一誰かが扉を明けてもいいように置いたらしい。

それの後ろを通れば映り込まずにベランダにいける。

もう少しずらした方が通過しやすいと思い、洗濯物を抱えながら片手でパーテーションに手をかけた。

とたん、力は縦方向ではなく横に加わった。

ぐらぁっとゆっくり夫のいる方向に倒れていく。

うわっうわっうわっ。

しかし声は出せない。

会議中、自分の背後からパーテーションが覆いかぶさる夫。

うわぁああ。

切羽詰まった夫が右手でそれを受け止め押し戻し、白い壁は無事元に戻った。

すみませ〜ん。

小声でそう言い、大急ぎでベランダに移動する。

「あらパーテーション、用意したんですね」

「うん、それはいいアイディアだわ」

「ははは・・・いやどうも・・すみません、続けてください」

大笑いするでもなく、会議は何事もなかったかのように続けられた。

洋服をハンガーに通し、物干しに下げ終わる。

さてもう一度あそこを通らないとならない。

・・・・・。

部屋に入ると、床にしゃがみ、邪魔にならないよう出来る限り身を縮めてアヒルの行進のように前に進む。

もたもた移動し無事部屋を出た。

落ち着いて後から思うと、その姿丸々がもし、しっかり映っていたらと思うと恐ろし過ぎて、夫には聞いていない。

その一部始終を