大量の寝汗をかき、その冷たさで目が覚めた。
シーツも掛け布団カバーも布団も、ベッドマットもびっしょりと濡れ、まるでお漏らしをしたかのよう。
多少の汗なら寝巻きだけ着替えてもう一度寝るが、水溜りの布団にはもはや潜れない。
時刻は1時33分。
朝はまだまだかぁ。
現実逃避を兼ねとりあえずトイレに行く。
うーん、最低限何をしたらいいんだ・・。
寝ぼけた頭で目を閉じながら便座に腰掛け考えていたらそこでうっかり寝ていた。
いかんいかん。
まずは着替えないと。しかし夏用の寝巻きはこれ一枚しかない。短パンを買いたそうと思ってたんだけどなあ。昨日ユニクロで見かけたあれ、かっときゃよかった。
何着よう・・・。
引き出しを開けて茫然と座り込みまたもや目を閉じ不動。
あ、いかんいかん。着替えねば。
夫の古いTシャツに緩めの綿のスパッツを取り出す。
しかしあれらの寝具のビチャビチャをどうしよう。
早いとこ水につけないと衛生上よくないだろうし、滲みにもなりそう。ここでちゃんと対処するしないで、次使うときの心持ちがかなり違ってくる。めんどくさくても綺麗にしないと。
部屋に戻り暗闇の中枕を床に投げ下ろし、シーツとマットをひっぺがす。布団カバーも引っ張り剥がす。
マットレスも濡れてる。うう。
納戸から除菌スプレーを持ってきて噴射する。
闇夜でシュコシュコ撒き散らす横で夫がオナラをした。
ついでに夫のほうに向けてシュッシュ。
部屋中に甘ったるい香りが充満したので窓を開けた。
ぼんやり夜空を見上げる。平和だ・・・・。
は、いかんいかんこんなうっとりしている場合ではない。
洗濯物をまとめて持って降り、洗濯機を回す。
大きめのバスタオルを持ってあがりマットレスの上に広げた。
汚れ物は消えた。
身体はぐったり心はすっきり。
夜空は曇っているのに目の裏には星が飛んでいる。
目が覚めると6時半だった。
「おはよう、トンさん」
夫は起きていたようでベッドでスマホのニュースを読んでいる。
「おはよう、昨日の夜、物凄い寝汗で大変だった」
「ふうん、大変だったね」
なんだって、そりゃ大変だ、大丈夫か、今は具合は悪いのかッ
と言って欲しかったわけでもないが、ふーんで済ましやがったなとチラッと思った。
起き上がってみるとふらつきも吐き気もどこかに行っちゃって、病人面するわけにもいかない。
なんだったんだあれは。
夜中の一人運動会。