小人の仕業

昨日の朝、夫が起きあがり、一階のシャッターを開ける音で目が覚めた。

7時過ぎ。もうこんな時間、と私もベッドから降り味噌汁を作る。

いつものように夫がテレビをつける。

ああ、自粛月間だからお家時間向けなんだな、いつもと違う特番のようだ。

二人で朝食をとりながら朝のドラマを観て、コーヒーとポタポタ焼きで、ぼんやり、テレビ画面を観続けていた。

隣で優雅に新聞をめくる夫。

時刻は8時45分。

「今日はゆっくりなの?会社」

「え?」

「だっていつも半には出社しに上がっていくじゃん」

すると目をぐいっと見開き

「休みだよ?ゴールデンウィークだよ?」

だいじょうぶか、この人はとこっちを見た。

「え?あ、そうなの?そうか、休みか、なーんだ、やだ、損した〜」

そうと知っていたらこんなに早く起きなかったのにと悔しがる妻。

「僕もさ、なんか気合入ってんなぁって思ってた」

 

今朝、今度は私が5時45分に目が覚めた。

ぼんやりした頭で降りてゆき、水を飲む。

今日も休み、二度寝しよう。

・・・・・。

おもむろに洗濯機にスイッチを入れ洗剤を入れる。

鍋に水をはり、野菜を切る。出汁を入れ、火にかける。

冷蔵庫からヒジキと昨夜の残りの生姜焼きを出し皿に乗せる。

箸置きとお碗を出してお盆に乗せた。

 

これでよし。

これでもう一度寝て降りてきたら

「あらぁ。朝ごはん、誰が用意してくれたのかしら」とほっこりした気持ちになる。

私の中の小人が私の寝ている間にやってくれたことにしよう。